テメル大統領が所属する民主運動党(PMDB)党首のロメロ・ジュカー上院議員が11月29日、飛行機内で通路に現れた乗客女性から挑発されて罵声を浴び、その模様がネットで広まるという出来事があった。
ジュカー氏やPMDBはこのところ、何かと悪役イメージが強い。テメル大統領自身が、「ジウマ前大統領(労働者党・PT)を裏切って罷免して大統領になった」というイメージで不人気だ。さらに国民の中には、ジウマ氏罷免の目的が「PMDBが自分たちの党の犯罪を隠すために権力を握ったのではないか」と考えている人も少なくなく、それが嫌悪感を倍化させている側面もある。
ジュカー氏はそのダーティ・イメージの中心的人物で、結局、不起訴になったものの、「(自身も疑惑の政治家として疑われた)ラヴァ・ジャット作戦の捜査をなんとしても止めなくては」と発言した録音が暴露され、それが理由でテメル政権の企画相を辞任したいきさつまであった。
そんなジュカー氏はこの日、ブラジリア発サンパウロ行きの飛行機で移動中、自席に座っていたが、1人の女性が近づいてきて、携帯電話を右手にジュカー氏に話しかけながら録画しはじめた。女性は「みなさん、ここにジュカー氏がいます。最高裁や全ての権力と談合した、あの人です」と挑発した。
ジュカー氏はこれを嫌がり、立ち上がって携帯電話を奪おうとした。
女性は後ろずさりしながらもジュカー氏を挑発し続けた。女性はさらに「社会保障制度改革や労働者の権利改正で談合役を担っている気分は?」と挑発を続けた。
この煽りを聞いて、この女性がPT支持者だと感づいたジュカー氏は、「国を壊したのはあなたたち〈PTとその支持者〉の方だろう? 我々は国を再建してるんだぞ」と反論した。
しかし、女性はさらに「ラヴァ・ジャット作戦まで蓋をしようとして。そうやって、ろくでもない友達を助けて来たんでしょ? 恥ずかしくないの? どこ行ってんのよ? どうせ専用ジェットにでも乗るんでしょ?」と煽ってきた。
ジュカー氏はサンパウロを経由して中国に向かうところだった。
このときの会話は、ほかの乗客も録画しており、それらがネット上に流出して話題となった。
ジュカー氏の側近によると、この女性の身元はすでに判明しており、法的に訴える構えであるという。(11月30日付フォーリャ紙電子版、オ・ジア紙電磁版など)
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