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メルコスールとEU貿易協定締結まであと一歩=20年来の交渉最終段階

ブラジルのアロイジオ・ヌネス外相(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

ブラジルのアロイジオ・ヌネス外相(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

 10~14日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催中の世界貿易機関(WTO)閣僚会議において、南米共同市場(メルコスール)諸国外相が、メルコスールと欧州連合(EU)の貿易協定締結について、詳細の詰めがまだ残っていると語ったと、12日ブラジル国内各紙が報じた。
 ブラジルのアロイジオ・ヌネス外相は、「少しでも早く、できれば年内に予備合意締結をと願っている」と語った。
 「熱心に働けば働くほど、何か不備を発見してしまうもの」と語るのはパラグアイのエラディオ・ロイサガ外相だ。
 一方、アルゼンチンのホルヘ・ファウリエ外相は、「大筋合意には数日中に達するかもしれないが、6~7カ月かけて条文を作成し、実施されるまでに2~3年」とややトーンダウンした。とはいえ「大筋合意がアナウンスされるだけで、企業や政府もその後必要な適応措置をとるため、メルコスールとEU間の貿易の潮流は変化する」と語った。外相たちは、どの項目が交渉の進展を妨げているかは明らかにしなかった。
 メルコスールは、EUが前回の交渉時に約束した、牛肉とエタノールを入れた自由化品目リストがブエノスアイレスで提示される可能性を信じ、期待していたが、現状では、今回の会合ではこれら2品目の追加はないとの見方が広がっている。
 EUは90%の品目の関税をゼロにすることを求めている。メルコスールは、その割合を87%から89%に引き上げると譲歩したが、EUは90%を譲らない。メルコスール側は関税ゼロ対象品目を拡大することも検討しているが、欧州側にスペイン、イタリアなどの競争相手も多いオリーブオイルを含める事に亜国が強く反対するなど、域内諸国の抵抗に会い、作業が難航している。
 アルゼンチンのファウリエ外相は、「医薬品製造業のレベルは南米と欧州とで開きがある。欧州は資本の論理で自分たちの製品を南米で売りたがっている」とし、医薬品の扱いも敏感な問題だとした。
 EUとメルコスールは、関税ゼロを実現するための期限でも意見が食い違っている。EUは10年間で関税ゼロを実施したがっているが、メルコスールは15年を求めている。
 ブラジルのアロイジオ・ヌネス外相は、「年初から交渉は活発化している。農業生産物に限らず、工業製品や知的財産の扱い、原産地規則、公共市場についても話し合えた。今年は有益な年だったといえる」と語っている。