ルーラ元大統領がサンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を介して賄賂を受け取ったとする疑惑に関し、連邦第4地域裁(TRF4)が12日に、第2審の審理を来年の1月24日に行うことを決めた。18年10月の大統領選へのルーラ氏の出馬は第2審の判決で左右されるため、それを見越しての異例の早い展開となった。13日付現地紙が報じている。
ルーラ氏は、7月12日にパラナ州連邦地裁で行われた第1審で、収賄と資金洗浄の罪で9年6カ月の実刑判決を受けた。フィッシャ・リンパ法では、複数の判事による裁判で有罪となれば、刑期終了から8年まで選挙に出馬できなくなる。
だが、ブラジルの場合、第1審から第2審までの間隔は通常、平均で1年は空くため、出馬登録が締め切られる8月15日までに第2審の判決が出るのかが大いに注目されていた。
だが、TRF4で2審報告官をつとめる、第8小法廷のジョアン・ペドロ・ジェブラン・ネット判事が11月、通常より約半年も早く、この訴訟に対する検証を終えて自分の票を固めた。さらにそれを受けた書記官役で第8小法廷の長のレアンドロ・パウルセン判事も12日にジェブラン報告官の検証に目を通し終わり、自身の票を固めた上で、来年1月24日に公判を行うことを要請、TRF4が承認した。
TRF4のこの動きに対して、ルーラ氏の弁護士のクリスチアーノ・ザニン・マルチンス氏は、「イゾノミア(法の上の平等、裁判案件を平等に扱うこと)を侵害している恐れがある」と抗議を行っている。
すでにルーラ氏側は、第2審で有罪となった場合、その結果に対して控訴を行う予定でいる。
厳密に言えば、ルーラ氏が第2審の判決で有罪になった場合、その場で出馬禁止が決まるわけではない。それは、特定の項目、同氏の場合は「出馬ができない」件に関して、高等裁、また最高裁に控訴をすることができるからだ。上級裁判所が控訴を受け付け、出馬を認める暫定令を出せば、出馬が可能となる上、1~2審の判決が覆ることも起こり得る。
また、TRF4第8小法廷が2対1で有罪と判断した場合はTRF4内での上告も可能だ。この場合は、第8法廷と第7法廷が合同で再び裁判を行うことになる。
選挙高等裁判所のジウマール・メンデス長官は、今回のTRF4の段取りについて「決して早くはない、妥当なもの」として問題にしない意向を示している。
同判事は、ルーラ氏が有罪判決後に人身保護令適用を求めて自由の身であることを確保した上で、上級裁で出馬を認める暫定令(リミナール)を得た場合についても、「人身保護令適用や出馬を認めた暫定令を裁判所が否決するか、それらの暫定令を否定する暫定令が出れば、いつでも服役開始となる可能性がある」との見解も示した。