17日、チリの大統領選の決選投票が行われ、企業家出身で保守派の元大統領(2010~14年)、セバスティアン・ピニェラ氏が左派連合推薦のアレハンドロ・ギリエル上議に勝利し、大統領に返り咲くことになった。パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルに続く、左翼から中道右派への政権交代となる。18日付ブラジル国内紙が報じている。
現大統領のミチェレ・バチェレ氏とピニェラ氏との間で大統領を交互に繰り返すことは2006年から続いており、今回ピニェラ氏がバチェレ氏から政権を取り戻すことも多くの国民が予想していた。
だが、「うまく行けば早くも当選」との予想さえ出ていた11月19日の一次投票で、ピニェラ氏は思わぬ苦戦を強いられた。ピニェラの得票率は36・64%に終わり、バチェレ氏の後継候補のギリエル氏が22・70%で続いた。
だが、3位(20・27%)に入った急進左派のベアトリス・サンチェス氏、5位(5・88%)のカロリナ・ゴイク氏が相次いでギリエル氏支持を表明し、ピニェラ氏とギリエル氏の差は縮まっていた。
ピニェラ氏は4位(7・93%)で極右の独立候補ホセ・アントニオ・カスト氏の推薦は受けたが、極右候補から推薦を受けたことで中道票が離れないかとの恐れもあった。
だが、ピニェラ氏は苦戦を強いられながらも、第1期在任中の経済成長をアピールし、企業の法人税減税やインフラ投資計画なども訴え、17日に行われた決選投票でギリエル氏をなんとか振り切って当選した。得票率は、ピニェラ氏54・57%対ギリエル氏45・43%と接戦だった。
ピニェラ氏の勝利の陰には、実に51%に及んだ投票棄権の影響もあった。中には、土砂崩れで8人の死者を出した大雨のために、投票が中止にされた場所もあった。
ギリエル氏は敗戦確認後にピニェラ氏の勝利を称えており、来年3月からのピニェラ氏の就任は速やかに行われるものと見られる。
これで、南米では、2013年にパラグアイの大統領に就任したオラシオ・カルテス大統領、2015年にアルゼンチンの大統領選に勝利した企業家出身のマウリシオ・マクリ大統領、2016年のジウマ大統領罷免によるテメル政権の誕生に続く、中道右派政権誕生となる。南米では2000年代後半から、ベネズエラのチャベス政権の影響を受け、次々に左派政権が誕生したが、同国ではマドゥーロ大統領の独裁が伝えられる中、もうひとつの左翼政権の終わりを告げる選挙だった。
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