18年の大統領選で連立与党からの推薦を受けることが有力視されているエンリケ・メイレレス財相が、21日に放送される社会民主党(PSD)の政党放送で、10分間中8分間登場し、ルーラ元大統領やジャイール・ボルソナロ下議にあてつける発言を行った。さらに同日昼にはメディア関係者を集めて、社会保障制度改革の話をするなど、大統領選を意識した行動をとりはじめた。21日付現地紙が報じている。
「大統領選出馬の結論は3月以降に」と主張し続けているメイレレス氏だが、この日の政党放送は、大統領選を強く意識したものとなった。
メイレレス氏は、テメル政権下で経済が建て直されてきていることを強調し、「我々は正しい方向に進んでおり、後退はできない」と語った。
この中でメイレレス氏は、「前の政権」との呼び方で、ジウマ氏による労働者党(PT)政権が「国をガタガタにした」との批判を行った。この中では「ポピュリズム」(大衆主義)という言葉も飛び出したが、これは、大統領選の世論調査での支持率が圧倒的に高いルーラ氏を意識した物言いだ。
なお、この放送では、メイレレス氏が中央銀行総裁を務めていた時の実績紹介も行われたが、在任期間がルーラ政権時の8年間であった事実は伏せられている。
メイレレス氏はまた、下院での投票が来年2月に延びた社会保障制度改革に関しても、「現在の政府による勇気ある改革」とし、「国を変えられるか否かは国民の判断にかかっている。それは極端な政治的なものの見方などでは解決しない問題だ」と語り、国民に協力を求めた。
また、これらの発言に加えて、盛んに「オポルチュニズモ」(日和見主義)に対する批判も行ったが、これは大統領選アンケートで支持率第2位のジャイール・ボルソナロ氏を揶揄したものと受け取られている。
現時点での大統領選世論調査でのメイレレス氏の支持率は2%のみで、決して高くない。だが、テメル大統領が最近、「連立与党内で社会保障改革を進める中道右派が中心になって大統領選を戦いたい」と発言しており、同財相はその最右翼と目されている。
仮にテメル氏の政党の民主運動(MDB)や、ロドリゴ・マイア下院議長の民主党(DEM)、PSDもその一つであるセントロン系の政党、進歩党(PP)や共和党(PR)、ブラジル共和党(PRB)、ブラジル労働党(PTB)が支持に回れば、メイレレス氏の大統領選キャンペーンの放送持ち時間は圧倒的な長さとなる。
また、テメル政権に対する支持率も、経済好転で前回の3%が6%に上昇。不支持率は逆に、77%が74%に下降するなど、良い兆しも見えはじめてもいる。