ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》最高裁=マルフの釈放を認めず=高齢で健康問題抱えるも=22日にブラジリアに移送

《ブラジル》最高裁=マルフの釈放を認めず=高齢で健康問題抱えるも=22日にブラジリアに移送

17年10月のマルフ氏(Wilson Dias/Agência Brasil)

17年10月のマルフ氏(Wilson Dias/Agência Brasil)

 21日、最高裁のカルメン・ルシア長官は、元サンパウロ市市長のパウロ・マルフ下議(86、進歩党・PP)の釈放請求を却下した。この判決を受け、マルフ被告は22日にブラジリアの刑務所に移送された。22日付現地紙・サイトが報じている。
 マルフ氏は今年5月に最高裁で7年9カ月と10日の実刑判決を受けており、19日に最高裁のエジソン・ファキン判事が即座の刑執行命令を出した。これは同氏がサンパウロ市市長だった1993年から96年に行われた、同市のアグア・エスプライアーダ(現ジョルナリスタ・ロベルト・マリーニョ)大通りとアイルトン・セナ・トンネルの建設工事で横領した公金を国外の口座に送金し、資金洗浄を行った容疑によるものだ。
 マルフ氏は20日にサンパウロ市の連邦警察に出頭し、連邦警察署内で身柄拘留となった。これを受け、同氏の弁護士らは同日、高齢と健康上の問題を理由に最高裁に同氏の刑執行差し止めを請求していたが、22日にカルメン長官がこれを却下した形となった。
 同長官は今回の判断は「5月23日に最高裁第1小法廷が断罪した」ことを受けたもので、「連邦検察庁が起訴してから22日で11年と3日が過ぎた」と指摘。同氏がいたずらに審理を引き延ばしてきたことを示唆した上で、刑執行の有効性を認めた。
 マルフ氏の弁護側はさらに控訴を行う予定だ。彼らはマルフ氏が前立腺癌を患い、心臓の状況もよくない上、排便時も人の助けを借りないと移動できないほど体力が衰えていて、危険な状態にあるとしている。
 カルメン長官は判決文で、マルフ氏が健康問題を抱えていることを認めた上で、同氏の検査は必須で、刑務所で刑が執行できるか否かは、連邦直轄区の刑法裁判所の判断に委ねられるとした。したがって、今回のカルメン長官の判断に対する控訴も、同刑法裁判所の扱いとなる。
 同長官の判断を受け、マルフ氏の身柄は22日にサンパウロ市の連邦警察からブラジリアのパプーダ刑務所に移された。同氏が入る房は30平米で、最大10人を収容。シャワーと便器、ベッドと机と椅子もついている。
 なお、法的に、下院が今回のマルフ氏の逮捕を止めることはできないが、同氏の下議罷免処分に関しては下院が扱うことになる。ロドリゴ・マイア下院議長は既に、下院本会議でマルフ氏の罷免問題について審議する意向だが、議会はもう休暇に入っており、同件の審議は議会が再開する来年の2月以降となる。