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新年早々の検査に思う

 仕事始めの3日、サンパウロ市東部の病院で核磁気共鳴画像法(MRI)による頭部の検査を受けた。左右の聴力に差が生じた原因を突き止めるための検査だ。予約がとれたのが仕事始めの日と知った時は日付を変えてもらおうかと思ったが、診察予約が入っている日に結果が間に合わなくなるのが怖くて、そのままにしてもらった▼1時間前までに来院するよう指示されて出かけたが、受付は人の波。入り口でもらった番号札を持って順番を待つだけで30分以上経ったが、その間も、人の列は途切れない▼昔、日本でリハビリを受けた時も病人が多いと驚いたが、ブラジルでは、公立病院や保健所(UBS)での治療や検査、手術などは無料で受けられる。不景気で失業者が増え、個人や会社で加入する保健プランからSUSに乗り換える人も増えているから、全ての治療や検査などを無料で行うための費用は莫大なものになるはずだ▼SUSは貧しい人にも医療を受ける権利を保障する一方、診察予約を入れるために朝の5時半から列に並ぶとか、自分の都合で時間や曜日を選べないといった不便さも付きまとう。知人は妊娠中に超音波検査を受けるよう言われたが、出産予定日後にしか空きがなく、自己負担で検査したという笑えない話もある▼そういう意味で、急ぐ必要がない場合はSUS利用も悪くない。だが、年金問題同様、医療関係者への給与支払や器材、薬などを安定供給するための財源確保が今後の課題となるのは目に見えている。年金問題は受給年齢引上などを検討中だが、SUSの今後の財源はどうするのか。真綿で首を絞めるような事態が、あちこちで起きている事も実感した初検査だった。(み)