ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》新労働相にクリスチアーネ氏=メンサロン服役の父は感涙=縁故指名は否定も物議=当初の候補者はサルネイが拒否?

《ブラジル》新労働相にクリスチアーネ氏=メンサロン服役の父は感涙=縁故指名は否定も物議=当初の候補者はサルネイが拒否?

16年ジウマ大統領罷免の下院投票でのクリスチアーネ氏(Antonio Augusto/Câmara dos Deputados)

16年ジウマ大統領罷免の下院投票でのクリスチアーネ氏(Antonio Augusto/Câmara dos Deputados)

 テメル大統領が3日、新しい労働相に、メンサロン事件の暴露者で、同事件で有罪となって服役したことでも知られるブラジル労働党(PTB)党首ロベルト・ジェフェルソン氏の娘のクリスチアーネ・ブラジル下議を指名し、物議を醸している。4日付現地紙が報じている。

 今回の人事は、前任のロナウド・ノゲイラ氏(PTB)が今年の統一選挙に何らかの形で出馬することを理由に、昨年12月27日に辞任したことを受けたものだ。
 テメル大統領は当初、後任にペドロ・フェルナンデス下議(PTB)を指名しようとした。だが、それは、テメル氏の所属政党、民主運動(MDB)の重鎮であるジョゼ・サルネイ元大統領の反対にあい、断念した。その理由は、フェルナンデス氏が、サルネイ氏の地元マラニョン州で、サルネイ家の政敵であるフラヴィオ・ジノ州知事(ブラジル共産党・PCdoB)の支持者であったためだ。
 テメル氏は4日にPTB党首のジェフェルソン氏と会談。この結果、同氏の娘のクリスチアーネ・ブラジル氏が新労働相に指名されることになった。
 この人選に関しては、同党の下院部門からも批判があがっている。それは、同党の有力候補として、セルジオ・モラエス下議やジョズエー・ベングストン下議が考えられていたためで、「ジェフェルソン氏が自身の影響力を使って縁故採用を持ちかけたのでは」との憶測も飛んだ。
 だがジェフェルソン氏はそれを否定し、「テメル氏の方から、クリスチアーネはどうかとの提案があった」と3日、記者団に語った。ジェフェルソン氏はわが子の大臣就任に感情を抑えきれず、「身に余る光栄だ」と涙する場面も見られた。
 ジェフェルソン氏は2005年、ルーラ政権が議会に対し、連邦政府への忠誠と引き換えに毎月贈賄行為を行うという、俗に「メンサロン」と呼ばれる作戦を行っていたことを暴露。自らも450万レアルの収賄を行っていたことで7年と14日の実刑判決を受け、15年まで服役していた。
 クリスチアーネ氏は、父が下議を罷免され、服役している間の党の運営を任され、党首をつとめていたことでも知られている。テメル大統領からは一度、文化相就任の依頼も受けていた。
 クリスチアーネ氏はラヴァ・ジャット作戦でのオデブレヒト社役員の報奨付供述で、20万レアルの違法献金を受けた疑惑に言及されたが、今日までの政治人生の中では一度も、取調べを受けた経験はない。
 クリスチアーネ氏の労働相指名は4日付官報に掲載されており、9日ないし10日に正式に就任となる見込みだ。