ブラジル日本移民110周年祝賀事業が、いよいよ開幕――。7日、サンパウロ市最高級のチヴォリ・サンパウロ・モファレジ・ホテルで、『新年祝賀会とブラジル日本移民110周年祝賀事業開幕式』が開催された。これを皮切りに、今年は全伯各地で300以上の祝賀事業が催される。茶道裏千家による初釜や、生け花協会13流派の優美な初生けが祝宴に華を添えるなか、日系団体関係者ら380人が出席し、新年の門出を祝った。
年明けに日系主要5団体で毎年開催されている新年祝賀会と、茶道裏千家の初釜、生け花協会の初生けを特別に合同開催し、移民110周年記念事業の開幕イベントとなった豪華版。生け花が優美に彩りを添えるなか、お抹茶席、大福茶席の2席で、来場者を温かくもてなした。
正午から幕開けとなった式典には、来賓としてジョアン・ドリア市長が出席。姿が見えると会場から大きな拍手で迎えられた。純白の衣装で身を纏った文協女性コーラス部により、日伯両国歌斉唱が行われると、式典は始まりを告げた。
日系諸団体を代表して挨拶した呉屋春美文協会長は「今日ここに移民110周年を迎えたことに思いを馳せると、言葉では言い表せない気持ち」と語り、日系社会を築いてきた先人に対する感謝を滲ませた。
移民110周年祝賀事業の経緯を説明し、リッファによる募金活動のため賞品を贈呈した企業への感謝を述べたほか、国士舘再開発事業の概略を説明した。また、7月21日に県連日本祭りで開催される記念式典については、皇室御臨席の期待を述べた。
野口泰在聖総領事は昨年10月の着任以来、日系団体の諸行事やレジストロ、ノロエステを訪問した所感を踏まえ、「日系社会の活躍は予測を上回るものだった」と賞賛。「移民110周年が大祭典として、日系社会の更なる発展に繋がることを祈念したい。そのために私も全力を尽くしていく」と抱負を語った。
これまでに3度訪日経験のあるというドリア市長は「個人的に日本人には賞賛と尊敬の念を抱いている」として、規律正しさ、勤勉さなどを挙げ、「日本人移民はそのDNAを保持して、ブラジルの発展に貢献してきた。日系社会から学ぶことは非常に多い」と惜しみない賛辞を贈った。
「移民110周年は、祝賀行事としてだけでなく、社会のお手本として日系社会が際立つものになる」と続け、最後に日語で新年の挨拶を行うと、会場からは盛大な拍手が送られた。
山田康夫県連会長が万歳三唱、続いて鏡割りの後に、菊地義治移民110周年実行委員長が乾杯の音頭を取り、節目の年の門出を祝った。その後、懇親の場となり、出席者は昼食に舌鼓にしつつ、コーラス合唱や尺八奏者のシェン・リベイロ氏と琴奏者の北原民江氏が織り成す美しい旋律に酔いしれた。
式典を終えた菊地実行委員長は「満員御礼で、幸先のよいスタートを切ることが出来た」と手応えを語り、「今年一年、実行委員長として皆を引っ張り、一丸となってやっていきたい」と襟を正した。