ブラジル国内ニュース

ベネズエラで拘束のブラジル人解放される=居住地の米国に強制送還=「反政府活動参加」とベネズエラ政府

ジョナタン・ジニス氏(MBL)
ジョナタン・ジニス氏(MBL)

 ベネズエラ政府は6日、昨年の12月27日より同国が拘束していたブラジル人のジョナタン・ジニス氏を釈放し、同氏が居住していた米国へ追放したと、6~8日付ブラジル各紙が報じた。
 同氏は非政府組織を隠れ蓑に反対勢力を支援していたとの嫌疑で、ベネズエラで事実上の独裁体制を敷くマドゥーロ政権のSebin(同国の秘密警察)に捕らえられていた。ジニス氏が拘束されていたカラカスのSebin本部は、反体制勢力を監禁する施設として知られている。
 ベネズエラでは12月27日に同氏逮捕が報じられたが、ブラジル外務省への正式通達は5日になって初めて行われ、翌6日には、同国検察庁が国外追放を決めたことも知らせてきた。ブラジル政府は、同氏の兄弟や在カラカス大使館職員と共にジニス氏解放に向けて動いていた。
 サンタカタリーナ州に住むジニス氏の家族は、ジニス氏は何の罪も犯していないし、米国CIA職員などではないとしている。
 米国ロサンゼルス在住のジニス氏は、昨年の12月初めにベネズエラに入国した。同氏は食料や玩具、医薬品などを配り、ベネズエラの路上生活者たちを支援する非政府団体に所属。11月末には英語で「今こそ地球を変える時」と名づけたフェイスブックページを開き、ナタル(クリスマス)に配る物資購入のための寄付を募っていた。
 ジニス氏はここ2年間で少なくとも4回ベネズエラを訪れており、17年初めには2カ月間、同国に居住していた。同氏はその時、ベネズエラの政治危機、経済危機の被害や影響を受けている。ジニス氏はその後もベネズエラを訪れ、首都カラカスの貧困地区での食料や玩具、衣類配布活動に参加していた。
 ベネズエラ政府の実力者ディオスダド・カベージョ氏は、12月27日に国営放送を通じてジニス氏逮捕を公表した際、米国CIAがジニス氏による反政府活動に関与しているとした。
 ジニス氏の兄弟ジュリアーノ氏は、「ベネズエラはジニスのことを米国人だと誤解している。彼が自分はブラジル人だと言えば言うほど疑いを強め、CIAの一員だなんて言いだした。全く馬鹿げている」と語った。
 6日にマイアミに着いたジニス氏は7日、「拘束期間中に拷問を受けたか」と訊かれ、「拷問か否かはどういう観点で状況を見るかによる」と返答した。フェイスブックでは、「反体制派のデモには何度も参加したし、デモのたびに催涙ガス弾を浴びせてきたマドゥーロは憎いが、体制派と反体制派双方が数多くの非道な行為を繰り返すのも目にした」と、反体制派も批判。謝辞と共に、「大人が地球上で犯した過ち故に、子供たちが死ぬのを見たくないだけ。政治活動には参加していない」と書き込んだ。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button