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サンパウロ市中央部=小物店で物議を醸す横断幕=「ブラジル人から買って」と店主

 「この店はブラジル人の店」と大書された横断幕が、サンパウロ市中央部(セントロ)、4月7日街のカルデ装飾小物店の入口に掲げられている。2・99レアル均一の低価格が売りだ。クリスマス商戦のために店主が考えたこの幕が、反響を呼んでいる様子を、9日付現地紙が報じた。
 店主のジョゼ・コレア氏(72)によると、横断幕により、昨年のクリスマス商戦の売上は一昨年の倍になったという。
 サンパウロ市中央部、レプブリカ地区の住民の43%は移民だ。この一帯の店は、ほとんどが外国人によって経営されている。一人の移民は、匿名を条件に、「挑戦的な意図を感じる」と答えた。
 コレア氏は、「誰かを標的にする意図はない。ただ私は真面目に商売を営む正真正銘のブラジル人で、ブラジルを愛している。ブラジルを愛する人は私から買って欲しい」と語る。
 店の客には、「ブラジル人の店で買えば、ブラジル人失業者が少なくなるかもしれない。いつ私が失業者になるかもわからないし」と語る人もいた。
 近隣には真似する店も現れた。「誰にとっても難しい時期だから団結しなくちゃ」とスポーツ用品店の店主エリーザ・シウヴァ氏は語る。
 サンパウロ総合大学の人類学者、ジャケリーネ・モラエス氏は、この横断幕出現で、「サンパウロ市、特にセントロの特徴だった多様性が、これまでにないほどの危機に晒されている」としている。
 しかし、コレア氏の目線は、あくまで商売繁盛にだけ向けられているようだ。「大事なのは売り上げが上がる事。儲かれば、横断幕はそのままにして、中国や韓国に買い付けに行き、安い商品を売るさ」と語った。