3月までに行なわれる閣僚再編を機に、テメル大統領(民主運動・MDB)は協力政党と共に、反ルーラ勢力の候補を立てて大統領選に臨もうとしているが、それが決して楽観的なものではないと、18日付エスタード紙が報じている。各党の思惑が交錯する連立与党内は「同床異夢」状態であり、反ルーラ統一候補擁立は一筋縄ではいかなそうだ。
10月の統一選挙のために、3月までに閣僚がガラリと入れ替わるのは恒例のこと。今年も現時点で28人の閣僚のうち、13人が選挙出馬のために入れ替わることが予想されている。
テメル大統領はこの閣僚再編に乗じて、閣僚を「反ルーラ派」の協力政党で固めて、大統領選に臨みたいと考えている。そこで協力しあえば、大統領選キャンペーンの際に政見放送の時間も豊富に使え、ルーラ氏などの労働者党(PT)候補に対抗できるとの考えだ。
だが、それは安易な道のりではない。まず民主党(DEM、30下議)がロドリゴ・マイア下院議長を大統領候補に擁立する姿勢を見せ、テメル氏やMDBに良い心象を与えていないからだ。
それだけでなく、連立政権で2番目の勢力である「PP/AVANTEグループ」(52下議)の一翼、進歩党(PP)がマイア氏の支持に興味を示し、シロ・ノゲイラ党首が「今でもルーラ氏が最高の大統領だと思っている」と発言。同氏の地盤であるピアウイ州でPTと共闘することを示唆したからだ。
また共和党(PR、37下議)は社会保障制度改革で同調できない点がある上に、メンサロン事件で服役し政治生命を絶たれながらも、現在も党の実質的指導者ヴァウデマール・コスタ・ネット氏がルーラ氏と非常に良好な関係で、地方選でのPT連立を考えている。
こうした状況もあり、連立与党を実質的に離脱した民主社会党(PSDB、47下議)との関係復活の道を探りたいと、大統領は考えている。テメル氏が今年に入って、同党の大統領候補ジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事を誉めだしたのもそのためだ。だが、PSDB党首のアウキミン氏自身は連立離脱の推進者だ。
連邦政府側の大統領候補はエンリケ・メイレレス財相で、本人も出馬準備を進めている。だが、国民からの支持率が低いだけでなく。連立与党どころか所属の社会民主党(PSD、38下議)でさえも同氏擁立への足並みが揃っていない。
連立政権内では、テメル氏の再登板、もしくはMDBで独自候補を出した方が良いのでは、との声も出はじめているという。