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高機能素材で寝具市場に進出=一般向け、医療用を展開

左から来社した高岡専務取締役、加藤取締役、土屋取締役社長

左から来社した高岡専務取締役、加藤取締役、土屋取締役社長

 マットレスやクッションなどの製造・販売を行う株式会社シーエンジ(高岡伸行代表、愛知県)は、独自の高機能素材の優位性を生かして、ブラジル市場に挑戦する。医療用製品は、パラマウントベッドブラジル社(土屋功(いさお)取締役社長)が代理で販売し、12月以降に一般向けに製造開始する見通しだ。
 シーエンジは、衝撃吸収性に富んだ一般向け、医療用マットレスなどを開発・製造している。ウレタン素材のマットレスが広く普及しているが、同社の製品は樹脂を使用。特徴である立体網状構造体が高反発性と通気性の良さを実現している。
 高岡佳久専務取締役と加藤毅取締役は、「ブラジルでは厚みのあるマットレスのほうが快適と思われがちだが、シーエンジの商品は5センチほどの厚さでも充分反発力が得られる」と話す。
 同社のマットレスは10万円近いものもあり、決して安価ではない。また、ブラジル人にとっては未知と言える素材だ。販売に当たっては、店頭で実際にマットレスに寝転んでもらうなど、快適さを実感してもらう工夫を凝らすことを検討している。
 高岡、加藤両氏は先月14日から25日まで滞伯。一般向け製品を販売する企業とのライセンス契約の締結や、医療用製品の受注を目指した医療関係機関への訪問など行った。
 一般向け製品は、ライセンスを取得した当地企業が販売を行う。7月頃から同社アメリカの拠点から高価格帯のマットレスやソファを仕入れ、販売する予定。同時に、市場調査や製品開発を進め、12月にはミナス・ジェライス州の工場での生産体制を整える。
 医療用製品はパラマウントベッドブラジル社が代行して販売をすることが決まっており、日系病院や保険局など医療関係機関に紹介し、需要を喚起する。高反発性を生かした医療用マットレスは、患者が動きやすく床ずれ防止に有効という。
 高岡専務取締役と加藤取締役は、「ブラジルにどういった製品が合うのか探りながらPRを進めて行きたい。将来的には生産拠点もミナスだけでなく、他の地域に拡大する」と展望した。


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 シーエンジ社は日本のプロサッカーチーム「ジュビロ磐田」と「清水エスパルス」(共に静岡県)に寝具を提供。選手からは「寝心地バツグン」「腰の痛みが楽に」「眠りが深くなった」などの声が届いているという。当地で生産拠点となるミナス州にも「アトレチコ・ミネイロ」や「クルゼイロEC」など有名サッカーチームがある。そこの選手にも提供し、SNSでコメントをもらえたら宣伝効果大!?
     ◎
 シーエンジ社は昨年、JICAが派遣した民間企業調査団として来伯。サンパウロ市内のサンタクルス病院や日伯友好病院やパラー州ベレン市のアマゾニア病院などに訪問し、自社の事業や製品などの説明を行った。その後、パラマウントベッドブラジル社が医療用製品を代理販売することが決まり、ブラジル市場に攻勢をかけることとなった。JICAのバックアップを受けながら製品開発を進める。「安眠」を嫌う人はいない。将来性のある事業なだけに成功すれば、日系企業にとってモデルケースになりそう。