ホーム | 日系社会ニュース | 宮城県人会=新会長に三世の上利氏就任=突然の対抗シャッパで=30年務めた中沢会長涙呑む

宮城県人会=新会長に三世の上利氏就任=突然の対抗シャッパで=30年務めた中沢会長涙呑む

 ブラジル宮城県人会の定期総会が28日午前に同会館で行われ、対抗シャッパが当日いきなり提出され、万年会長の中沢宏一氏から上利(あがり)エジガール氏(45、三世)に世代交代をした。中沢会長から2017、18年度の事業・会計が報告されたが、承認を得ることはできなかった。60日以内に臨時総会を招集して、これらの承認を得るよう新役員が動いている。

 定期総会の役員選挙では、中沢会長の対抗馬として伊藤マリオ氏を会長とするシャッパが突然提出された。しかし定款上の理由で伊藤氏のシャッパは認められず、急きょ上利さんを会長とするシャッパに替えられ、出席者の約9割がそちらに賛同し、当選した。
 建築技師の上利氏は約15年前に入会して以来、活動に貢献してきた。会長に推薦されたことに驚きつつ、「役員を若い世代にする必要があるという話は前からあった」と説明した。
 今後の方向性としては、三、四世の会員増加を目標とする。日系人として生まれながら日本文化と接点がなく、日本語を話さない日系の若者が多いことを指摘し、「会存続のために、今すぐに解決しなければならない問題」と語った。
 若者会員の増加のため、新しい活動企画を考え、新役員と会議する予定。「運営陣に入ったことはないが、県人会の成長が役員全員の目標。協力し合いながら会員増加を目指したい」との意気込みを語った。
 中沢会長時代に副会長を務めつつも、今回は新シャッパに入った佐藤栄記書記理事は、「一世の時代は終わった。みな健康問題などで活動が難しくなる。若い世代に継ぐことは以前から話し合われていた。会員も半数以上を若い人に代えたい」と述べた。
 以前の運営に関し、「定期総会で発表された村井嘉浩知事の来伯など、役員会を通さずに大事なことを決定されることが多かった」との問題点を指摘した。
 上利会長について「とても真面目で優しい青年で人望もある。ずっと県人会を手伝ってくれた」と紹介し、「上利会長も運営面では新米だが、皆で支えあい、親睦団体として正しいことをやっていきたい」と語った。
 通算30年も会長を務めた中沢さん。最初の8年間で会館用地購入、4年置いて次の10年間で会館建設を果たした功労者だ。だが「当日まで対抗シャッパがあることを知らなかった。でも、そろそろかとは思っていた。皆さんにはお世話になった。新執行陣を支援していきたい」と肩を落として語った。
 新役員は以下の通り。(敬称略)【会長】上利エジガール【副会長】新国良二、伊藤フミエ、アビコ・スミエ、コタケ・キヨコ、伊藤マリオ【書記】佐藤栄記、相沢光子【会計】加藤セツコ、カジタニ・ラウラ【正監査】コバタ・トシオ、石田ヘンリー、鈴木ケイコ【補充監査】後藤エイシ、鈴木エンリケ、オルイ・ジュンコ


□関連コラム□大耳小耳

 宮城県人会の佐藤書記理事によると、同県人会の定款は10年以上も修正が行われていないという。これから、総会で問題となった昨年度会計の承認や、定款見直しが行われるようだ。「今回、やっと役員全員が定款見直しの必要性を確認した。ブラジルの法律は頻繁に変わるから。これから忙しくなる」と腕まくりをした。若者会員増加のための新活動案として「エスコテイロ(ボーイスカウト)」とのアイデアが出ているとか。「若者会員増加」を掲げる宮城県人会。新役員の力で、まずは今年の県人会創立式典を無事に乗り切って欲しいもの。