ミナス・ジェライス、エスピリトサント、リオ、サンパウロの4州では2017年初頭から黄熱病患者が続出し、その対策に追われているが、ブラジル南東部4州での黄熱病の感染拡大について、専門家が三つの仮説を提唱していると6日付現地紙サイトが報じた。
これら4州では昨年初頭以降、779人の黄熱病感染が確認され、262人が死亡、435人が感染の有無を確認中だ。
専門家は、2000年代から南東部での黄熱病感染を確認しており、東部海岸への感染拡大も予想していたが、昨年以降の流行状態は、多くの専門家を驚かせた。
黄熱病はアフリカからの奴隷が売買されていた17~18世紀にネッタイシマカと共に持ち込まれ、最初は市街地で大流行した。市街地型の黄熱病は20世紀に撲滅したが、その時は既に森林地域にもウイルスが拡散。アマゾンの森林地帯では今もウイルスがおり、ブラジル北部などでは野生型の黄熱病対策がとられているが、大西洋岸森林のウイルスは1940年代に撲滅したため、南東部では予防接種さえ行われなくなっていた。
そこに降って湧いたように現れたのが、昨年来の野生型黄熱病感染だ。一部の専門家は最初の仮説として、「アマゾンの森林地帯で黄熱病に感染した人が南東伯(おそらくミナス州)に戻ったところをヤブカの仲間が刺して感染。そのカを通してサルや人間に感染が広がった」と唱えている。
二つ目の仮説は「アマゾンの森林地帯でウイルスに感染したカが、森林伐採などによる環境変化などを受け、森や河川で繋がるバイア州やミナス州を経て、エスピリトサント州やリオ州、サンパウロ州に入り込んだ」というものだ。一部のカは1日3キロ飛ぶといわれている。
これに輪をかけるように唱えられているのは、三つ目の仮説だ。2015年11月5日にミナス州マリアナ市で起きたサマルコ社の鉱滓ダム決壊事故の影響で、ドッセ川流域も含む広範な地域の環境や動植物の生態系が破壊され、天敵が減ったカが急速に繁殖。黄熱病感染も拡大したという。
黄熱病流行を恐れた人がサルを殺すケースも出ているが、サルは黄熱病を媒介しない。逆に、サルが減ればサルの血を餌としていたカが人間の血を探すから、いたずらにサルの数を減らしてはならないと、専門家は説いている。