ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》モラエス最高裁判事=「刑執行は2審後に」=別件裁判で注目の判断表明=ルーラ、最高裁でも不利に=カギ握るローザの意向

《ブラジル》モラエス最高裁判事=「刑執行は2審後に」=別件裁判で注目の判断表明=ルーラ、最高裁でも不利に=カギ握るローザの意向

モラエス判事(Rosinei Coutinho/SCO/STF)

モラエス判事(Rosinei Coutinho/SCO/STF)

 6日、連邦最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事は、「裁判で実刑判決を受けた人は、2審で有罪判決が出た時点で執行」との判断を下した。最高裁に有利な判断を期待しているルーラ元大統領にはますます不利な状況となった。7日付現地紙が報じている。

 モラエス判事の判断は、6日に最高裁第1小法廷で行われた、ジョアン・ロドリゲス下議(社会民主党)の上告裁判で明らかにされた。同下議は、サンタカタリーナ州ピニャウジーニョ市の市長だった時、入札を不正に免除したことなどで、2009年に第4連邦地域裁(TRF4)から5年3カ月の実刑判決(昼間外出が許されるセミ・アベルト)を受けたが、それを不服として最高裁まで訴え続けていた。
 この裁判の席で、モラエス判事は「1審と2審こそが証拠を確認する裁判であり、その過程が終了した後に刑の適用をはじめるのは、国際的な基準で見ても、人権侵害にはあたらない」との判断を示した。
 このモラエス判事の判断は最高裁にとって大きな意味を持つものだ。最高裁では16年10月に「刑の執行は2審終了後からとする」かの審理を行い、6対5の僅差で「する」が優勢になっていた。
 だが、「する」に票を投じていたテオーリ・ザヴァスキ判事が、17年1月に飛行機事故で他界。さらにこの後、「する」に投票していたジウマール・メンデス判事が「しない」に意見を変えた。これにより、「3審目以降」に票を投じていたマルコ・アウレーリオ・メロ判事を中心として、投票結果を見直す動きが起こっていた。
 その中でも、テオリ氏の後任として最高裁に加わったモラエス判事がどちらの見解の持ち主であるかが、1月24日に行われた第2審で、収賄と資金洗浄の容疑で12年1カ月の実刑判決を受けたルーラ氏にとって重要だった。仮に「3審以降」だとしたら、10月の大統領選への出馬の可能性が広がるためだ。
 だが、モラエス判事が「2審後から」としたことで、カルメン・ルシア長官、ルイス・フクス、ルイス・アルベルト・バローゾ、エジソン・ファキン判事に続いた。これで、現状の「2審後」は5票となった。
 一方、以前は「3審以降」に投票していたローザ・ウェベル判事が、6日の裁判では、自身の見解を示した際に「16年10月に決まった決定に従う」と発言したことも注目された。だが、この時に「私の個人的な見方とは違う」とも語っていたため、今後、同件で再投票が行われた際に、どちらに転ぶかはわからない。
 ルーラ氏は第2審で連邦地域裁での抗告結審後に刑執行と言い渡された後、最高裁に刑執行猶予を求めており、刑執行の時期に関する審理が再開される可能性がある。そういう意味で、ウェベル判事は今後、最も注目される判事となりそうだ。