選挙高裁のルイス・フクス長官が8日、今年の統一選挙では第2審でも有罪となった政治家の出馬拒否を徹底する可能性について言及したと9日付現地紙が報じた。
フクス最高裁判事は6日に選挙高裁長官に就任し、就任演説でもフィッシャ・リンパ(FL)法を積極的に擁護した。FLは「清潔なカード」を意味し、複数判事による裁判で有罪が確定した人物は、刑期終了後も、8年間は選挙への出馬が禁じられる。
同長官は6日も、「汚れたカードは蚊帳の外」との表現で、同法を厳格に適用する意向を表明。8日は更に、「出馬不能である事が確定した人物の出馬登録は受け付けない」と明言した上で、高等裁や最高裁が人身保護令を適用したり、上告裁判結審までは自由の身でいる事を認める暫定令を出したりしても、選挙高裁がそれを無効化する権限を持つ事を検討する意向も明らかにした。
同長官は具体的な人物名を口にしなかったが、この発言が直接的な意味を持つのはルーラ元大統領の例だ。
ルーラ氏は、1月24日に第4地域裁での第2審で有罪判決を受け、同地域裁への抗告結審後に刑執行と言い渡された。第2審は3人の判事によるもので、当然、FL法適用となるが、同氏は既に、人身保護令適用や、抗告のチャンスが残っている間は逮捕、投獄を免れる事が出来、選挙にも出馬出来るような暫定令を要請済みだ。
これらの要請が受け入れられれば、元大統領は統一選への出馬が可能となる。事実、労働者党(PT)は第2審直後、ルーラ氏を大統領選候補に立て、登録最終日の8月15日に出馬申請との作戦まで立てている。
選挙期間中に暫定令が無効化されれば、PTは投票日の20日以上前に別の候補を擁立出来る。また、投票日まで暫定令が有効で、同氏が当選した場合は、選挙そのものが無効化され、再選挙となる可能性もある。フクス長官はこういった事態回避のため、選挙高裁に高等裁や最高裁が出す暫定令を覆す権限を認める事などを話し合う。
グレイシー・ホフマンPT党首はフクス長官の発言後、ネット上で抗議声明を出したが、元大統領を巡る状況は、ますます厳しさを増している。