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《ブラジル》選挙高裁=政党ファンド選挙使用認める=フクス長官直々の判断=政党間に大きな温度差

ルイス・フクス選挙高裁長官(Nelson Jr./SCO/STF)

ルイス・フクス選挙高裁長官(Nelson Jr./SCO/STF)

 ブラジル選挙高裁(TSE)は今年の総選挙の費用として、各政党に合計8億8870万レアルの政党ファンドの使用を許可したと、14日付現地紙が報じた。
 8億8870万レアルの内、7億8030万レアルは国家予算からの割り当てられる。
 政党ファンドは、昨年10月に議会で承認された、17億レアルに及ぶ選挙ファンドとは別物だ。選挙ファンドは、今年の総選挙からは政治献金が禁じられたことの穴埋め的措置として制定された。
 選挙ファンドの設置が決まった後、政党ファンドを選挙費用として使用する事を認めるか否かは不透明だったが、最高裁判事でもあるルイス・フクスTSE長官が読み上げた決議書には、「各政党は、以前受け取った資金も含めた政党ファンドを、選挙運動に使ってもよい」と書かれている。
 これについての各政党の意見は対立している。
 民主社会党(PSDB)のマルクス・ペスターナ下議は、「我がPSDBや民主運動(MDB)、労働者党(PT)のような大きな政党では、政党ファンドは日々の活動に消えてしまうが、中小政党は選挙だけに温存できるから、大規模政党より有利だ」と批判している。
 ポデモス党首のレナタ・アブレウ下議も、「選挙費用を割り当てるための選挙ファンドが昨年成立したはず。政党ファンドの選挙への使用許可など出されては、不公平だ」と語っている。
 だが、ブラジル労働党(PTB)党首のロベルト・ジェフェルソン氏は、「TSEは、16年全国市長選の時に下した判断を踏襲し、筋の通った決定を下した」と賞賛している。同氏はまた、金額こそ明かさなかったが、昨年までの政党ファンドの一部を、今年使うために取っておいた事も明かした。
 昨年12月にTSEが承認し、今月初めに公布した決議書に基づいて、政党ファンドの選挙使用許可を出したことで、政党ファンドを振り分ける権利を持つ、各政党の党首や幹部たちの党内権力は一層強くなった。
 TSEの決議書は、企業献金の禁止についても改めて言及しており、選挙前年に受けた法人献金も、選挙活動費に使ってはならないと定めた。
 政党ファンドは毎月、各政党に、組織運営の基本的支出を補助する名目で割り当てられる。全体の5%はTSEに届け出ている35政党に平等に配分され、残りの95%は、各政党の下院での議席数に応じて比例配分される。