16日午後に連邦政府が出した、リオ州の治安に関する直接統治(インテルヴェンソン・フェデラル・IF)を定めた大統領令は国内外に衝撃を与え、連邦政府でもリオでも混乱した状態が続いている。17~19日付現地紙が報じている。
IFは大統領発令後、連邦議会による承認が必須なため、19日夜に下院が最初に投票。承認されれば、上院が続けて審議し、両院で承認後、正式に有効となる。この場合、大統領令が一部でも変更されれば、IFは効力を失う。
テメル大統領は大統領令発令後の16日夜、IFに至った経緯などをメディアで説明。17日はリオ州に赴き、ルイス・フェルナンド・ペザン知事やマルセロ・クリヴェラ・リオ市市長らと具体的な話し合いも行った。
また、同日は、法務省を一部分割し、「治安省」を新設することを宣言。治安省の人事などの詳細は発表されていないが、同省は恒久的なものではなく、「IFの際の業務調整のためのものであり、国政の範疇を超えない」という。
同省設置については、エウニシオ・オリヴェイラ、ロドリゴ・マイアの上下両院議長とも既に話し合われており、すぐに法案が送られる見込みだという。
一方、リオ州内では16日のIF発表以降も、治安の悪化を裏付ける事件が相次いでいる。
そのひとつは、18日にフルミネンセ海岸部ジャペリにあるミウトン・ジアス・モレイラ刑務所で起きた、脱走未遂と暴動だ。暴動は、脱走未遂後の収監者数確認時に起き、一時は、刑務所職員8人を含む、10人が人質に取られ、負傷者なども出た。
また、17日にはリオ市北部チジュッカで男性1人が死亡、1人が負傷する事件が起き、火器類やナンバープレートのないバイクなどが押収された。18日は同市西部のバングーで銃撃戦が起こり、軍警軍曹1人を含む3人が死亡、4人が負傷する事件も起きている。
こうした事態に関し、トルクアット・ジャルジン法相は、「保安の管轄変更後に反動が起きることは予測していた。犯罪組織が、国軍指揮下の保安がどのようなものになるのか、試してみているのだろう」と語り、この程度の犯罪発生は想定範囲内との見解を示した。
同州内の市警、軍警、消防隊の統括権は、IF発表後、ワルテル・ブラガ・ネット陸軍司令官に移管された。週末のリオ州では、カーニバルのイベントや大統領訪問などもあり、陸軍も交えた警備が通常よりやや強化された。なお、ブラガ将軍は治安部門の統括責任者任命直後の16日、「具体的な計画は何も決まっていないが、リオの現状はマスコミが騒ぐほど酷くない」と語った。
大統領は議会での審議を控えた19日朝、連邦審議会と全国保安審議会を召集。会議には上下両院議長や主要閣僚、3軍の長らが会し、リオ州の治安に関するIFの是非を問うたが、大統領は決議に従う義務はない。