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リオ直接統治令=下院を圧倒的多数で通過=20日に上院で審議投票=左翼は軍統治に強く反発=逮捕捜査権が今後の争点

19日の下院の投票の様子(Wilson Dias/Agência Brasil)

19日の下院の投票の様子(Wilson Dias/Agência Brasil)

 【既報関連】連邦政府が16日に出したリオ州治安部門の直接統治令(インテルヴェンソン・フェデラル・IF)を審議する下院本会議が19日夜から行われ、20日未明に340対72の圧倒的大差で承認した。G1サイトによれば、上院でも20日午後4時から審議がはじまり、翌朝までには結果が判明する予定。出席上議の過半数が賛成すれば可決となる。20日付現地サイトが報じている。

 直接統治令は16日から発効となっているが、上下両院の承認をもって正式に有効となる。下院審議は19日の夜、行われ、7時間にも及ぶ議論の後に行われた投票では、賛成340、反対72、棄権1という圧倒的多数で可決した。上下両院とも報告官は立てたが、「緊急案件」として、本来通るべき専門委員会での討議は免除され、本会議での審議に直接持ち込まれた。
 票差は大きかったが、議論は反対派の強硬姿勢で白熱した。反対したのは野党の左派政党、労働者党(PT)、ブラジル共産党(PCdoB)、社会主義自由党(PSOL)の3党だ。
 ロドリゴ・マイア議長は「リオは今、緊急を要している。現状の州の機能では限界を超えており、全ての善良な州民にとって犯罪組織が敵となっている異常事態だ」と賛成票を強く促した。
 だが、左派政党は「戦争する訓練を受けているのが軍人であり、治安維持の専門家ではない」と反対。PTは投票の妨害を試み、PSOLは最高裁に投票中止を呼びかける訴えも起こしたが、聞き入れられなかった。反対派は「10月の選挙を有利にするために、連邦政府がIFを利用している」と揶揄している。
 統治令は20日に上院に回された。上院でも過半数以上の承認を得れば、1988年の新憲法制定以来はじめて、連邦政府による州政府の直接統治が、治安部門に限ったこととは言え、合法的に行われることとなる。
 下院で今件の報告官をつとめたラウラ・カルネイロ下議(民主運動・MDB)も提案した、「統治令中は陸軍にも警察と同じように、大掛かりな逮捕や捜査が認められるべきか」という点が次の争点となりそうだ。
 すでに陸軍司令官のエドゥアルド・ヴィラ・ロボス司令官の提案がリオ州の裁判所に送られる予定で、テメル大統領自身もこれが認められることを強く望んでいる。
 現行憲法では、こうした捜査は「警察、もしくは司法機関に属すもの」と規定しており、司法でない軍には本来、その機能はない。これに関し「今は非常時であり、それがなければリオは統治できない」とする肯定派と、「軍にそこまでの権限を与えるべきではない」とする反対派に分かれている。