3大格付会社全てがブラジル国債の評価を投資不適格級に落としてから2年余り。未だにどの格付会社もブラジル国債の評価を上げてはいないが、ブラジルの企業の一部は、社債の評価が投資適格級を保っている。
格付会社は、企業や銀行、国家が債務を滞りなく返済できるかどうかを重点的に評価する。つまり、「投資適格級」の評価はその企業、銀行、国家が債務不履行に陥る可能性が低い事を意味し、それを見て、投資家が国債や社債の購入の是非を決める。
3大格付会社とは、スタンダード&プアーズ(S&P)社、ムーディーズ(M)社、フィッチ(F)社のことだ。S&P社は130社のブラジル企業を査定しており、その内の8社が投資適格級の評価を受けている。
41社を査定するM社は、1社だけに投資適格級の評価を与えており、150社を査定するF社は、13社を投資適格級と見ている。
オースティン・レイティング社のチーフエコノミスト、アレックス・アゴスチーニ氏は、「ブラジル政府との関わりが強すぎず、利益の全てをブラジル国内で稼いでいるわけでもない事が、評価が落ちない理由」と分析している。
ブラジル政府との結びつきが強いままに高評価を保っている企業には、航空機製造のエンブラエル社や鉱山採掘のヴァーレ社などがある。
エンブラエル社は、競合する企業も少なく、国際市場において好調だとアゴスチーニ氏は語り、ヴァーレ社も世界的な好景気に支えられた資源需要の堅調さに支えられている。
同じ業種で、企業規模や売り上げなども似通っているのに、格付会社からの評価が大きく異なる例もある。
それは紙パルプ業だ。スザーノ社は財務状況とキャッシュフローを大きく改善した事で、昨年末にF社から投資適格級との評価を得た。
対照的に、クラビン社はブラジル国内最大の生産量や輸出高を誇るも、財務状況が悪く、2年前に、F社とS&P社により、投資不適格級に落とされた。
ブラジル国債は、2008年にF社、S&P社から投資適格級の評価を得て、2009年にはM社からも同じ評価を得た。
しかし、国家財政の悪化、蓄積する負債や長引く不況も重なり、2015年9月にはS&P社、同年12月にはF社、16年2月にはM社が、国債を投資不適格級に落とした。
国債が一度投資不適格級に転落すると、通常は投資適格級に戻るまでに5~10年を要す。〈20日付G1サイトより〉