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10月のリオの選挙はMDBに厳しく!

テメル大統領(右)とぺゾン・リオ州知事(中央Beto Barata/PR)

テメル大統領(右)とぺゾン・リオ州知事(中央Beto Barata/PR)

 16日に突如として連邦政府から発表された、リオ州における直接統治。治安部門だけとは言えども州の自治は奪われ、陸軍が統括の中心になるわけだから、強い拒絶反応が起こっても本来ならばおかしくはない。だが、リオの治安があまりにも不安定で先行きが見えないことから、今回の件に関しては、大半の国民が理解を示しているようにも見える▼これを好意的に解釈する人の中には「もし、この統治が成功すれば、テメル大統領の再選もありうるのでは」という声まで上がっている。この見方は、野党の左翼政党も同様で「どうせ、選挙のための点数稼ぎだろ」という穿った見方も聞こえて来ている▼たしかに、後退して久しかった景気を回復させ、そこに「国の治安上、最大の懸案」だったリオを立ち直らせることができたならば、現政権の実績としては大きなアピールにはなるだろう。そうなえば、「不人気でかつ高齢」とも言われ、本人でさえ当初頑なに否定していた、テメル氏自身による大統領選出馬に色気が出てきたとしても不思議はない。幸い、魅力的な後継者も現時点では見つかってもいない▼だが、仮にシナリオがこのように進むと仮定した場合、コラム子にはどうしても腑に落ちないことがある。それは「リオ統治に成功すれば、持ち上げられるのはMDBなのか?」という点だ▼MDBとはテメル大統領所属の政党、「民主運動」のことだが、「軍事政権時に1党のみ認められた野党」ということで、ブラジル一の伝統を誇る老舗政党だ▼このMDBはとりわけリオ政界で強く、過去多くの州知事、リオ市長も輩出している▼ただ今回、リオがこのような異常事態に陥ったのは、セルジオ・カブラル前知事がブラジル史上最大規模の汚職の連続で州財政を粉砕し、それを継いだフェルナンド・ぺゾン現知事の力不足によるものという、「MDB知事の混乱」が引き起こしたものだ▼それに加えて、同じくMDBのリオ選出のエドゥアルド・クーニャ前下院議長も、ラヴァ・ジャットの中心となったペトロブラスでの収賄工作が発覚して逮捕。政界を追われ現在は囚われの身だ▼こうした、リオを壊した張本人がMDBなのに、その長老が「尻拭いしたから英雄」ということになるのでは、あまりに話がうますぎないか。仮に統治が成功しても、国民、とりわけリオの有権者たちは、そもそもの発端を忘れるべきではない▼もっとも、リオ州民もそれは周知のことのはずだ。事実、16年のリオ市長選では、MDBのエドゥアルド・パエス前市長の推した候補は大敗し、ウニベルサル教会の息のかかった保守派のマルセロ・クリヴェラ氏と、急進左派のマルセロ・フレイショ氏との間の両極端な選挙隣、かなり話題となった▼10月のリオの選挙では、MDB候補者が厳しい目にさらされるべきだ。ブラジルが良い方向に変わるためには、こここそがその第1チェック・ポイントとなるだろう。(陽)