エンリケ・メイレレス財相は22日、10月の大統領選に関し、たとえテメル大統領と対決することになっても出馬する意向であることを明かした。だが、メイレレス氏をめぐる状況は厳しいと、23日付現地紙が報じている。
メイレレス氏がこのような発言を行ったのは、当初、不出馬の予定だったテメル大統領が、再選を目指して出馬するのではという説が有力視されはじめたのを受けてのことだ。
同氏は「たとえテメル氏が出馬することになっても、それで出馬をためらうなどということはない」とまで語った。
メイレレス氏は今年のはじめ頃まで、景気を回復させた実績を買われ、「連立与党を代表する大統領選の最有力候補」と目され、本人もそれを意識したキャンペーンを行いはじめていた。
だが、世論調査での支持率が2%と低いためにそのイメージが揺らぎ、さらに所属の社会民主党(PSD)がメイレレス氏擁立に難色を示していると報じられはじめたことがマイナス・イメージに拍車をかけた。テメル大統領も「(メイレレス氏は)財相のままでいてほしい」という発言を行いはじめている。
事実、メイレレス氏が出馬を希望しても状況は苦しい。PSD党首で元サンパウロ市市長のジルベルト・カサビ氏はすでに、大統領選では民主社会党(PSDB)のジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事を支持することを表明している。PSDとPSDBの間では、ジョアン・ドリア・サンパウロ市市長がサンパウロ州知事選に出馬することになった場合は、PSDから副候補を出す、という交渉まで行われている。
もし、PSDからの出馬がかなわない場合は、4月7日までなら他党に移籍しての出馬が可能だが、メイレレス氏はここでも苦しい。同氏と関係の良い他の党としてはブラジル共和党(PRB)があるが、同党もすでに民主党(DEM)のロドリゴ・マイア下院議長を推す方針を固めている。
さらに、メイレレス氏が大統領選に出馬する場合は、4月までには財相の座を降りなければならない。そうなった場合、自身の進めていた経済政策が損なわれてしまう危険性もある。
メイレレス氏に可能性があるとすれば、民主運動(MDB)内部に、テメル氏続投のための出馬に難色を示している人たちが少なくないということだ。彼らを取り込んでMDBや連立政党を説得することが可能であるならば、逆転の可能性はなきにしもあらずだ。
メイレレス氏は22日、大統領選には出馬しないと決めたときは、現政権が終わるまで財相に留まるが、次期大統領から財相にと乞われたときには、断る意向であることも明らかにした。