ブラジル沖縄県人会の第81回総会と、ブラジル沖縄文化センターの第46回総会が2月25日午前10時から、サンパウロ市の県人会本部で同時開催され、遠くは南麻州カンポ・グランデなど約40支部らの代表など約90人が参加した。8月3~5日に行なわれる県人移住110周年に向けて青年部の連携強化、一連の行事予定や記念誌発行、サンパウロ州内4カ所で一般ブラジル住民向けの沖縄文化イベント開催が発表されるなど確実に盛り上がりをみせてきた。
両団体のトップを兼任する島袋栄喜会長は本紙取材に対し、「もともと県人会は県系人が親睦を深める、相互扶助をする役割を強く担ってきた。だが世代交代する中で、その役割では若い人が集まらない現実が出てきた。これからの県人会の役割は、ブラジル社会に沖縄文化、チムグクル(助け合い精神)を普及していくこと。それによって国の発展に貢献することだと思う。110周年の機にその方針を具体化させたい」と強調した。
その流れから記念事業の一環として、県系人の集住地であるサンパウロ市、アララクアラ、パラナ州ロンドリーナ、南麻州カンポ・グランデなど4カ所で、ブラジル人住民にむけて沖縄芸能を紹介するイベントを今年9月以降に開催する予定。
昨年、島袋会長が「地方の支部には青年部があるが、本部にない。若者に参加して欲しい。本部にも青年部をつくって、支部の青年部をつなげる活動を。将来的には青年部が県人会の中心になってもらい、我々はその後方支援をするようにしたい」と提案したことを受けて創立し、総会の中で新青年部が自己紹介した。
青年部長の上原ジュン・ルーカスさん(24、三世、ビラ・カロン支部)は、「支部の青年の方では、昨年から横のつながりを強める動きを始めていた。本部に青年部ができれば加速される。既存のイベントや110周年に協力するだけでなく、いずれは我々が中心になった若者向けイベントを作って実施していきたい」との抱負を述べた。
110周年では、8月3日の州議会で慶祝議会、母県や国外からの賓客と昼食会、知事表敬訪問、4日午前は本部で先駆者慰霊法要、午後はビラ・カロン沖縄祭り会場付近で記念パレード、5日は沖縄文化センターで式典が予定されている。
上原テリオ副会長は各行事の予算を読み上げ、特別会計として50万レアルを計上しているとし、「百周年は80万レアルかかった。今回はかなり切り詰めている」と報告した。
総会では17年と18年の事業報告と通常会計報告、育英基金報告、評議員選挙が行なわれ、いずれも拍手で承認された。県人会17年会計では収入82万5859・80レアル、支出73万8139・01レアル、22万9702・40レアルが繰り越された。沖縄文化センター17年会計では収入30万5523・14レアル、支出29万1953・27レアル、繰越金1万3569・87レアルだった。
□関連コラム□大耳小耳
沖縄県人会総会では機関紙『協和』109号が無料配布された。1700会員は無料で受け取れる。カラーグラビアもあり、日ポ両語で約140ページと充実した内容。一県人会がこれだけのものを発行し続けていることにビックリ。島袋栄喜会長はその寄稿文の中で、「生き残る物は大きいものでも強いものでもない。生き残るものは、その時々の時代の変化に対応できるものしか生き残れない」という言葉を紹介。《植物も動物もそう。企業や私たちのような親睦会でもそれは通用します。(中略)県人会を継続していくには、常に時代の変化に注目し、ウチナーンチュの先祖伝来のチムグクルを大事にしつつ新しいニーズに適応し、より高い理想、より高い目標を掲げて若い人たちをひきつける必要があります》と書く。マンモス県人会であることに胡坐をかかず、時代に即応する柔軟性を求める姿勢は立派なもの。