【既報関連】ブラジル地理統計院(IBGE)が1日、2017年の国内総生産(GDP)成長率が、3年ぶりの前年比成長となる1%上昇だったと発表した。
だが、17年の成長は均一的なものではなく、サンパウロ州、リオ州、ミナス州、エスピリト・サント州からなり、ブラジルのGDPの53%を占める南東部は唯一のマイナス成長(0・7%)だったと10日付現地紙が報じた。
地方別GDPは15年までしか発表されていないが、金融大手のイタウ・ウニバンコ(IU)社が、各地方の農業生産、工業生産、正規雇用のデータと月次商業調査を使って、17年の地方別GDPを概算して、明らかになった。他の地方は、南部が3・4%、北部が1・7%、中西部が2・4%、北部が2・6%成長している。
IU社エコノミストのアルトゥール・パッソス氏は、「石油採掘部門の不振の影響が、特にリオ州、エスピリト・サント州に強く出た」としている。ミナス州も財政難の影響を受けており、ブラジル最大の労働市場であるサンパウロ州は、雇用回復の遅れの影響を受けた。
連邦直轄区(DF)と26州のGDPを個別に見ると、17年は19州がプラス成長、7州とDFはマイナス成長となった。南東部の4州は全てマイナス成長で、リオ州の下げ幅2・2%はワースト2位だった。サンパウロ州の下げ幅は0・3%だが、同州の経済規模は国全体の約3分の1に相当し、影響は無視できない。
南東部以外の4地方がプラス成長を記録したのは、農業の好調によるところが大きい。18年と19年は、消費や設備投資、製造業の回復により、昨年の1%を超える成長が見込まれている。
IUは今年のブラジルGDP成長率をプラス3%、来年をプラス3・7%と見ているが、パッソス氏は、GDPの牽引役の座は農業州から他の州に移ると予想している。17年の州別GDP成長率1位は、マラニョン州、2位はマット・グロッソ州だった。穀物、大豆の収穫が好調だった事がその理由だ。しかしながら、両州共にブラジルGDP全体に占める割合は2%以下と低い。
ブラジルGDPは14年第1、2四半期に連続してマイナス成長となり、リセッション(景気後退)に入った。同年第3、4四半期はわずかながらも成長したが、15年第1四半期からは8期連続のマイナス成長で史上最長の景気後退となった。
だが、咋年は4四半期連続でプラスを記録し、国全体では年間1%の成長を達成した。ただし、景気後退に入る前の水準以上に回復したのは7州のみだ。その内5州は北部で、パッソス氏は「経済規模の小さい州はサンパウロ州などと違い、ブラジル全体の不況の影響が小さいし、社会福祉政策の恩恵も強く受けている」と分析した。