【既報関連】「ミニダヴォス会議」とも呼ばれる、ラテンアメリカ世界経済フォーラムが、13~15日にサンパウロ市で開催された。13日はプレス・オープンのため、事実上の開会となった14日の開会セッションで、ミシェル・テメル大統領(民主運動・MDB)は、米国との鉄鋼・アルミ関税問題に関し、2国間交渉が不調に終わった場合は諸外国と歩調を合わせて世界貿易機関(WTO)に訴えるが、全ては慎重に行う必要があると語ったと、15日付ブラジル国内各紙が報じた。
テメル大統領は、ブラジル産鉄鋼製品は米国内の企業が鉄鋼製品を製造するための材料であり、関税のせいで高騰するのは好ましくないはずと指摘した上、「ブラジル企業と、米国企業がコンタクトを取るのがよいのでは?」と語った。これが実現すれば、ブラジルと米国の企業が合同で、米国政府に対して鉄鋼関税を考え直すように説得するという展開が見えてくる。
テメル大統領は、トランプ大統領サイドに会談の意思を示した事を明らかにし、「トランプ大統領は電話会談に応じるだろう」と語った。
テメル大統領による鉄鋼関税への言及は、同会議主宰のクラウス・シュワブ氏が質問したからだが、シュワブ氏の不安は「特定の国が、自国産業保護主義に走る」ことにとどまらない。同氏は、開会イベントに招かれたブラジルの英雄ペレを「フェアプレーの象徴」と賞賛し、「世界貿易は公正な市場競争原理を保護するというルールにのっとって行われるべきだ」と語った。
テメル大統領は歳出上限法や労働法改正などに触れ、いかにしてブラジル経済を不況から脱出させたかについても語った。
ホスト役のジョアン・ドリア・サンパウロ市長(民主社会党・PSDB)も、サンパウロ市経済の躍動感を主張すると共に、ジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事(PSDB)こそ、今年の選挙で大統領に選ばれるにふさわしいと語った。アウキミン知事は、大統領選にはあえて触れず、保護貿易主義への懸念を表明した後、列席のペレと、往年の彼のチームメイトでPの字がつくパガン、ペペのトリオを賞賛しつつ、州政府が進める官民合同計画(PPP)を宣伝した。ペレは、自らの1千得点達成時の言葉、「子供の教育にもっと力を」を繰り返した。
今回のフォーラムには、世界各国の政界リーダーや企業家など700人が集まり、活発な会議が行われた。
参加者の一人でブラデスコ銀行取締役会長のルイス・トラブコ・カッピ氏は、「次期大統領の最優先課題は政府の財政改善だ。今のままでは、教育など、重要な分野への投資の余力がない」と語った。
また、メイレレス財相も保護主義を批判。それと同時に、ブラジルはその道を歩む事はないとした上で、各国の低すぎる金利も、「インフレに寛容すぎる」と批判した。