【既報関連】米国通商代表部のライトハイザー代表は、22日に開かれた米国下院公聴会で、米国はブラジルを鉄鋼・アルミ関税対象国から一時的に外すと表明したと、23日付ブラジル国内各紙が報じた。
米国のトランプ大統領は、今月8日に、「23日からカナダとメキシコを除く諸国からの鉄鋼製品に25%、アルミニウム10%の関税を課す」と発表していた。課税開始直前に対象から一時的に外されたのは、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、韓国、欧州連合(EU)だ。
同代表によると、トランプ大統領は、関税に関して交渉中の国への関税引き上げを一時的に猶予することを決めたという。
また、22日深夜、米国大統領府は、関税猶予期間は5月1日までと発表した(「4月30日まで」との報もあり)。
ブラジル鉄鋼協会(IAB)のマルコ・ポーロ・ロペス会長はこの知らせを好意的に評価したが、今後の交渉の行方は予断を許さない。ウィルバー・ロス米商務長官も、TVのインタビューで、「タダで課税を一時免除するわけじゃない」と語っている。
テメル大統領は21日に、公式情報の裏づけなしに「ブラジルは課税を免除されるだろう」と述べ、政府内でも混乱が起こっていたが、ライトハイザー代表の言葉により、これも収束した。
マルコス・ジョルジェ通商産業サービス相代行は、「次の手は正式な書面を待って考える」と発言した。
「これが筋道」としたのはアロイジオ・ヌネス外相だ。ライトハイザー代表がブラジルの事情について言及しており、ブラジルは米国との交渉のための前提条件がしっかりしていると同外相は見ている。
ブラジル政府や国内企業は、米国に輸出している鉄鋼は8割が半製品で、米国側の原材料であることや、米国から鉄鋼用石炭を年10億ドルも輸入していること、ブラジルと米国間の貿易収支は米国が黒字であることから、ブラジル製の鉄鋼は米国の安全確保の上の脅威ではないと主張している。
また、ブラジル鉄鋼業界はテメル大統領がトランプ大統領と電話会談を行うことを求めており、マルコ・ポーロ・ロペスIAB会長は22日に、テメル大統領に対し、早く電話会談を行うよう要請したとも報じられている。