ブラジル経済は、16年末まで2年以上も大型不況が続いた上、17年の経済状況は回復の兆しが見え始めた程度だったため、銀行は民間企業への融資に二の足を踏んできた。だが、年が明けて景気回復の足取りが確かなものになってきた事で、銀行が積極的に融資先を探し始めたと、27日付現地各紙が報じた。
ブラジル中銀は21日に、一昨年から連続12回目の経済基本金利(Selic)引き下げを決めており、現在のSelicは記録的な低水準の年利6・50%だ。
中銀は26日に、今年の自由融資枠の予想を、従来の昨年比4%増から6%増に引き上げた。
全国経営財務協会(Anefac)幹部のミゲル・オリベイラ氏は、「少し前までは銀行幹部が企業を訪ねて融資を勧める事なぞなかったが、今はどこでもそうしている。金利はまだまだ高いのに」と語り、「消費者向け融資も、1年前なら10件に1件しかおりなかったのに、今では10件に5件は認められる」と続けた。
イタウ・ウニバンコ社理事のアンドレ・ダレ氏は、「私たちは会社訪問で大きな手ごたえを得ている。中小企業ならば、訪問先でそのまま融資契約を結べる例もある」と語る。
中銀によると、消費者向けの融資は昨年下半期から増え始めている。昨年第4四半期からは、企業向け融資も回復し始めている。昨年12月~今年2月の3カ月と、その直前の3カ月とでは、前者の方が、企業向け融資は7・4%、消費者向け融資は0・9%多かった。
Selicが年利6・50%と史上最低値を更新したため、銀行が公債に投資して得ていた利益が薄くなっており、投資先の変更、つまり企業や個人に融資して金利を稼ぐ方向にシフトする動きも出ている。
ブラデスコ銀行の融資部長レアンドロ・ジニス氏は、「市場がよくなれば我々もその流れについていく」と語る。消費者への融資も、返済期限の長期化や融資の際に担保を求められないなどの変化が起きている。
サンタンデール銀行の消費者融資部長のエドゥアルド・ジュルセヴィッチ氏は「当行は12カ月前から前向きに融資をしてきており、最近になって積極的になったわけではない。返済期限を2割延長することもやぶさかではない」と語った。
デビットカード決済手数料も下げ
ブラジル中銀は26日、10月1日からデビットカード決済でのカード発行会社の取り分を、決済額の0・8%から0・5%に引き下げると発表した。17年のデビットカード取引総額は4810億レアルで、世帯消費の11・6%だった。
中銀では、カード会社の取り分を引き下げる事で小売店の負担が減れば、その分が消費者価格にも還元され、デビット取引が促進されるとみている。