「どういう式典をするのですか?」――皇太子殿下は18日午後、在ブラジル日本国大使公邸で開催されたブラジル日系社会代表レセプションに臨席され、日本移民110周年祭典に興味を示された。全伯の日系団体代表者ら53人が出席し、拍手で迎えられた殿下は、出席者一人一人の話に深く耳を傾けられ、慈愛に満ちた朗らかな表情で、励ましのお言葉をかけられた。
在外公館管轄区毎に分かれた8グループと連邦議員ら要人1グループの計9グループに分かれ、山田彰大使が付き添って懇親を深められた。
日本移民110周年祭典委員会の菊地義治実行委員長が自己紹介をすると、殿下は「どういう式典をするのですか?」とお尋ねになった。
菊地さんが式典概要を説明した上、「200周年に続くよう、若い人たちに多く参加してもらい、先輩移住者に負けないよう開拓精神を引継いでもらいたい。皇室からの記念式典への参列を是非ともお願いします」と語ると、「大変いいことですね」とにっこりと微笑んで喜ばれたという。
パラナ日伯文化連合会の上口寛会長も、「110周年祭典での皇室のご臨席をお待ちしております。今年はマリンガーとロンドリーナで開催するので協力して頑張っております」と話をしたところ、「準備が大変ですね。頑張って下さい」と励ましのお言葉をかけられたという。
二宮正人弁護士に対し殿下は、「両陛下が『二宮さんに宜しく』と仰っていました」とお話になったという。二宮さんは「大変光栄に思いました」と笑みを浮かべた。来年5月1日には新天皇にご即位される殿下について「色々なご公務をこなしていらっしゃいますし、つつがなく陛下の後を継がれるでしょう」と語った。
ブラジル日本移民100周年で皇太子殿下にご接見を賜ったというブラジル日本文化福祉協会の呉屋春美会長は、「10年前とお変わりないですね」と話したところ、殿下は「懐かしいですね」などと懐古されたという。呉屋会長は「どんな話も真摯に聞いてくださる。その思いやり、優しいお姿は10年前と全くお変わりない」との印象を語った。
連邦直轄区の日伯文化体育娯楽協会の梅田寛ワルデマル会長は、「ご訪問は大変有り難いこと。三、四世など若い世代にとっても重要。我々の体には日本人の血が流れ、日本精神を次世代に引き渡したいと思っている」と語り、「日系人としての若者の意識を強め、日伯交流強化に貢献していきたい」と背筋を正した。
ご接見にあたっては、参加者が自己紹介や各団体の近況をご報告し、殿下は終始、慈愛に満ちた朗らかな表情で「多方面に渡って活躍していますね」「お元気で活動を続けて下さい」「成功をお祈りしています」などと励ましのお言葉をかけられていた。
首都ブラジリアで開催された「第8回世界水フォーラム」に出席するため、私的にブラジルをご訪問された殿下。浩宮さま時代の1982年に、海外最初の公式訪問先としてブラジルを初めてご訪問され、2008年のブラジル日本移民100周年では、日伯交流年実行委員会名誉総裁をお務めになり、10日間で8都市を歴訪された。今回はそれに続く3度目の訪問となった。
米マイアミ経由で、18日午前8時頃、民間機にて首都にご到着。午後2時には、セラード農牧畜研究センター(EMBRAPA)を36年ぶりにご視察された後、このレセプションに臨まれた。