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《ブラジル》エスカーラ作戦=テメル大統領の元側近や友人逮捕=港湾の事業契約巡る疑惑で

 連警が29日、テメル大統領(民主運動・MDB)が17年5月に出した港湾の事業契約に関する大統領令を巡る不正に関与した疑いで、大統領の長年の友人2人や、実際に恩恵を受けたとされる港湾企業の共同経営者らを逮捕したと同日付現地紙サイトが報じた。
 問題の大統領令は、1993年以降に署名された港湾の営業権や賃貸借契約の期間を35年に拡大し、最大70年までの延長を認めるものだったが、最終的にはそれ以前に契約した企業も対象とする事が認められ、サンパウロ州サントス港で活動するロドリマル社が恩恵を受けたとされる。
 同件に関する疑惑は、食肉加工大手のJBSや親会社のJ&Fの報奨付供述やMDB下院部門のロビイスト、ルシオ・フナロ被告の供述で浮上した。昨年9月には、大統領特別補佐官だったロドリゴ・ロシャ・ロウレス元下議が大統領令の取りまとめに動いた事などが明らかにされていたが、今回は、テメル大統領の50年来の友人でやはり大統領特別補佐官だったジョゼ・ユネス氏、大統領と懇意の企業家のジョアン・バチスタ・リマ・フィーリョ軍警元大佐、ロドリマル社共同経営者のアントニオ・セウソ・グレコ氏、ジウマ政権の元農相でサンパウロ州港湾管理公社総裁も務めたヴァギネル・ロッシ氏、ロッシ氏の部下のミウトン・オルトラン氏、港湾事業で恩恵を受けたとされるリブラ・グループ共同経営者のセリナ・トレアウバ氏の6人が逮捕された。
 また、サントス市内では、ロドリマル社での家宅捜索や物品押収なども行われた。
 エスカーラ作戦は、ラケル・ドッジ検察庁長官の要請に基づき、最高裁のロベルト・バローゾ判事が許可を出した。港湾疑惑に関する捜査は昨年9月に最高裁が許可しており、同判事は同件に関する審理の報告官だ。これまではロドリマル社が大統領元側近に賄賂を支払った事位しか明らかにされていなかったが、今作戦では、テメル大統領にも渡っていたとされる賄賂に関する交渉にリマ氏も関わっていた事を示す通話記録なども資料として提出された。
 バローゾ判事は2月にも、大統領の銀行口座の開示を許可し、物議を醸した。今回の作戦で、大統領の身辺は再び慌しくなりそうだ。