【既報関連】3月29日に行われたエスカーラ作戦は、テメル大統領の旧知の友人、ジョゼ・バチスタ・リマ・フィーリョ元軍警大佐らの逮捕にも及んで話題を呼んだが、連邦警察が疑惑の港湾企業、サンパウロ州サントスのロドリマル社で押収した資料の中に、テメル氏の名前やリマ氏の企業に言及しているものが見つかっていると、3月31日~4月1日付エスタード紙などが報じている。
テメル大統領はエスカーラ作戦後、リマ氏を含む親友2人が逮捕されたことに関して、「私から政治生命を奪おうとする陰謀だ」とし、強い不快感を示し、改めて自身の身の潔白を主張した。
だが、テメル氏が同年5月に出した港湾の事業契約に関する大統領令(港湾条例)における疑惑は、17年5月のJBSの報奨付供述や同年6月に元側近だったロドリゴ・ロシャ・ロウレス氏が別件逮捕された時から浮上していた。ロウレス氏の携帯電話の通話内容などからは、ロウレス氏がロドリマル社に便宜を図る内容を大統領令に盛り込もうとしていたことも確認されていた。
エスタード紙によると、連邦警察は、ロドリマル社から押収した資料の中で、テメル氏と、リマ氏の企業「アルジェプラン」についての言及がなされた書類を発見しているという。
それはロドリマル社の社屋の4階と5階で見つかったものだ。5階で見つかった「アイテム20」と呼ばれる押収物件には、いくつかの企業名と個人名が記載されており、そこにテメル氏の名前が登場するという。また、「アイテム7」という資料にはロドリマル社と関係のある企業名が示されており、その中にアルジェプランの名前があったという。
テメル氏とリマ氏は、テメル氏が1984~6年にサンパウロ州保安局長をつとめた時からの長い付き合いだ。連警は、アルジェプランが港湾条例で恩恵を受けようとした企業が支払った賄賂の受け皿になっていたと見て、捜査を進めてきた。
また、エスカーラ作戦で、リマ氏らと共に逮捕されたロドリマル社社長のアントニオ・セウソ・グレッコ氏が、3月29日に、「テメル氏は副大統領だった時代に港湾条例でロドリマルへの便宜を約束する発言を行った」が「何もしてくれなかった」と連邦警察に語ったとする報道もなされている。
1日付エスタード紙はさらに、連邦検察庁が3月21日に、リマ氏と、今回同じく逮捕されたテメル氏の50年来の友人で元大統領特別補佐官のジョゼ・ユネス氏の2人を、他の3人の容疑者と共に民主運動(MDB)の汚職計画に関与していた容疑で起訴したことも明らかにしている。
なお今回の逮捕は一時逮捕だったため、3月29日に逮捕された13人中、ユネス氏やリマ氏など10人は、事情聴取後の3月31日に既に釈放されている。