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JH=大岩オスカル「天国」展開始=空間藝術や絵画作品3点も

完成に自信を見せたオスカル氏

完成に自信を見せたオスカル氏

 ジャパン・ハウス(平田アンジェラ多美子館長)は、日系人画家大岩オスカル氏(52、二世)の特別展『Oscar Oiwa in Paradise – Drawing the Ephemeral』を今月3日から6月3日まで、同館地上階(Av. Paulista, 52)で開催している。
 オスカル氏はサンパウロ市生まれ、USP建築学部卒。91年から11年間、日本で画家として活動の後、02年から米国に拠点を移し、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ソウル等各地で個展や展示会に参画するなど、現在、国際的画家として活動している。
 幼い頃から美術に親しんでいたがオスカル氏だが、現代美術に関心を寄せるきっかけとなったのが、大学時代に現代美術の大規模国際展覧会「サンパウロ・ビエナーレ」で日本からの画家を通訳等で手伝ったことだったという。
 以来、日本、米国へと移住し美術を学ぶなかで様々な影響を受け、自己のアイデンティティや土地、都市や環境との関係性を鑑みて、独特な視点から描かれる作品が同展の魅力だ。
 「情報技術や移動手段の発達によって国境の垣根が低くなり、簡単に行き来できる時代になった。移民という意識は希薄になり、人間はますます国際的になっていくのではないか」と作品の背景思想を語る。
 本展では、ビニール素材でできたバルーン状の空間に360度に描かれる「パラダイス(天国)」と題した空間藝術のほか、絵画3点が展示されている。
 これはブラジル日本移民110周年を記念した特別企画展。三菱電機、キャノン、MAYEKAWA、ブラデスコ保険の協賛で実現された。問合せは、同館(3090・8900)まで。


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 「パラダイス(天国)」と題した空間藝術は、墨絵から着想を得たものだという。白のビニール素材に黒ペンで絵が描かれているモノクロの空間で、オスカル氏は「現代版の素材を使って、(墨絵を)やろうと思った」と語る。線の描き方は、幼少期に読んでいた手塚治虫の漫画の影響を強く受けており、「子供の頃によく真似して描いていたものが進化していったもの」という。閉ざされた360度に描かれた空間で、バルーン状の扉を入っていくのも期待で胸が弾む。オスカル氏の独特の世界観に浸ってみては?