パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は5日夕方、ルーラ元大統領に対する逮捕令を出し、6日の17時までにパラナ州クリチーバの連邦警察に出頭するよう命じた。これに対し、ルーラ氏は抵抗を示している。6日付現地紙が報じている。
5日のモロ判事による逮捕命令は4日の最高裁でのルーラ氏への人身保護令(HC)適用却下を受けたもので、ラヴァ・ジャット作戦に関わる裁判の第2審を担当し、ルーラ氏に12年1カ月の実刑判決を出した連邦第4地域裁(TRF4)第8小法廷がモロ判事に刑執行許可を出したことによって出された。
この一報に、ホームレス運動(セン・テット、MSTCなど)や土地なし農民運動(MST)は強く反対し、マニフェスタソン(抗議行動)を行うと宣言した。
また、ルーラ氏の地盤である大サンパウロ市圏サンベルナルド・ド・カンポの金属労組は5日夜、同組合本部前でマニフェスタソンを行った。
ルーラ氏は5日、朝からずっとサンパウロ市のルーラ研究所で労働者党(PT)幹部や弁護士らと会合を重ねていたが、逮捕令が出たことを知ると、担当弁護士のクリスチアーノ・ザニン氏とルーラ研究所を後にし、サンベルナルド・ド・カンポの金属労組本部前での抗議行動に参加。そのまま、そこに留まった。
ルーラ氏は金属労組の委員長を務めていたが、軍事政権下の1980年4月に「デモを扇動した」との理由で逮捕されている。今回はそれ以来、38年ぶりに逮捕命令を受けたことになる。
ブラジルの大統領では、エルメス・ダ・フォンセッカ(1922年)、ワシントン・ルイス(1930年)、アルトゥール・ベルナルデス(1932年と39年)、ジュセリーノ・クビチェッキ(1968)の4人が、在任中または退任後に逮捕されている。だが、いずれも政治的な理由によるもので、今回のような収賄や資金洗浄といった犯罪で逮捕されるのは初めてのこととなる。
連警はルーラ氏支持者らとの抗争回避を願い、同氏の出頭を待っていたが、元大統領は5日17時現在も金属労組内に篭り、連警が連行しに来るのを待っている。17時過ぎの報道によると、同氏の弁護士は身柄の引渡しについて連警と交渉中で、「抵抗はしない」と話しているという。
ただ、5日夜から6日にかけて全国的に抗議行動の波が拡大し、暴力的な事態も引き起こされている。5日夜にはルーラ研究所の前で反ルーラ派の人物が暴行を受け、トラックの荷台に頭を強打して流血するなどの被害が起きている。
逮捕反対デモはルーラ氏の票田でもある北東伯でも相次ぎ、ペルナンブッコ州レシフェの国道101号線では6日朝、タイヤを積んで火をかけて通行を封鎖するなどの事態が起きている。
なお、逮捕命令後に高等裁に出された人身保護令は、6日午後、却下された。