労働者党(PT)は、7日のルーラ氏逮捕劇後も、10月の大統領選はルーラ氏を同党候補として臨む意向だと9日付現地紙などが報じている。
ルーラ氏は7日から服役中だが、法律上はまだ出馬することができる。正式な大統領選出馬登録期限は8月15日だが、出馬資格があるか否かを決めるのは選挙高等裁判所(TSE)で、TSEの判断次第では出馬が認められる可能性がある。
ただ、現在のTSEの長官は、4日の最高裁でのルーラ氏への人身保護令適用を問う裁判で反対票を投じたルイス・フクス判事だ。
ルーラ氏の出馬が認められなかった場合、PTは9月21日までに代理候補を立てることが可能で、前サンパウロ市市長のフェルナンド・ハダジ氏や元官房長官のジャッケス・ヴァギネル氏が有力視されている。
ルーラ氏の弁護士のクリスチアーノ・ザニン氏やPTのグレイシー・ホフマン党首らは現在、マルコ・アウレーリオ判事をはじめ、人身保護令適用に賛成した判事たちに働きかけ、11日に開かれる予定の最高裁大法廷で「第2審で有罪となったら刑執行か否か」を審理するよう仕向けている。特に、4日の審理では、かつての「控訴ができなくなった時に服役」という見解から立場を変えたローザ・ウェベル判事に今一度考え直すように呼びかけている。
だが、仮にルーラ氏の出馬がかなわなかった場合、大統領選ではルーラ氏に投票したいとしていた左翼系の票がどこにいくのかが、全く見えない状況でもある。それは左翼票が現時点で一枚岩になっていないためだ。
急進左派は、ブラジル共産党(PCdoB)も社会主義自由党(PSOL)も、逮捕直前のルーラ氏に寄り添い、金属労組本部でのイベントに参加して連帯を誓い合っていた。だが、両党共、独自候補を擁立しており、それが一次投票でのPT候補票につながらない。
また、シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)やマリーナ・シウヴァ氏(REDE)は、今回のイベントに参加しなかった。現在の大統領選支持率調査で共に上位に食い込んでいる両候補は、中道票が欲しい状況にあり、急進左派的な態度は取りにくい。
だが、2人共、ルーラ氏への忠誠を誓わなかったが故に、PT票や急進左派の層の票は取り付け難くなっている。
ルーラ氏に票を投ずる意向の国民は35%ほどいるが、同氏は拒絶率も高い。また、中道~右派でも候補が乱立しているため、混戦のまま、決選投票までもつれることが予想されている。
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