【既報関連】アロイジオ・ヌネス外相は、12日にペルーのリマで米国のウィルバー・ロス商務長官と会談し、「ブラジルから米国へ輸出する鉄鋼、アルミ製品への関税を恒久免除されるためには、自発的に輸出量を制限することに同意し、輸出量の制限値を設定する事が必要」と告げられたと、13日付ブラジル国内各紙が報じた。
両者の会合は、南北アメリカ大陸諸国の首脳が参加して行われる米州首脳会議(リマ、13~14日)に先立って行われた。
米国は、3月初旬に「3月23日付で、鉄鋼製品に25%、アルミニウムに10%の関税を課す」と発表したが、ブラジルやアルゼンチン、オーストラリア、韓国、EUについては「関税適用条件に交渉の余地あり」として、適用を4月30日まで延期していた。メキシコとカナダは、3月初旬の時点では関税対象国から外されたが、これは恒久的なものではなく、北米自由貿易協定(Nafta)の枠組みの中で交渉している。
米国はブラジル鉄鋼の最大の輸出先で、関税がそのまま適用されると、11億ドルの損失を被る。
韓国は既に、対米輸出量を、過去3年の平均輸入量の7割以下に抑えることと、米国産自動車への市場開放に同意し、関税適用を免れている。
ブラジルから米国に輸出される鉄鋼製品は8割が半製品で、米国企業はそれを使って製品を作っていることや、ブラジルは米国から10億ドル分の鉄鋼加工用石炭を輸入していること、ブラジル企業は米国に投資を行っており、雇用も創出していること、ブラジルと米国との間の貿易収支は米国側の黒字であることも、ロス長官は理解している。
ロス長官は、「米国企業に働きかけ、ブラジルを関税対象から外すように米商務局に対して要請させればどうか」との助言さえしたが、その手続きは複雑な上、商務局は既に700件の請願であふれているという。ブラジル製品を関税対象から外すためには、ブラジル製品は米国産業にとって本質的に重要で、米国産の製品では代替出来ない事を証明しなくてはならない。
ブラジル政府は、今のところ、自主的な輸出量制限にも別品目での譲歩にも難色を示しているが、粘り強く交渉し、関税免除期間の終わる4月末までには合意を結ぶ事が出来ると信じている。
また、ロス長官も、仮に交渉が4月中に成立せず、5月から関税が適用されたとしても、5月以降に交渉が成立すれば、米国は、交渉成立前の課税分の補償に応じる構えを見せた。