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世界屈指の高金利国ブラジル=金利引き下げに取り組むブラジル中銀

 ブラジル中銀が17日、財務安定性レポートを発表した。それによると、ブラジルではイタウ、ブラデスコ、ブラジル銀行、連邦貯蓄銀行(Caixa)の4大大手銀行が、2017年の国内貸付の78・51%を行っており、銀行預金も全体の76・35%が4大銀行に集中している事が分った。
 4大銀行の寡占状態は年々進んでいる。データによると、10年前の2007年の場合は、4大銀行の行った貸付は全体の54・68%、4大銀行に預金されていた銀行預金は全体の59・34%だった。
 「寡占状態が競争を停滞させているから、ブラジル中銀がいくら経済基本金利(Selic)を下げても、消費者への出口金利が下がらないのでは?」と質問されたブラジル中銀のパウロ・ソウザ監査部長は、「中銀は金利を下げさせるための措置をほかにもとっている」と答えた。
 ソウザ部長は、各行が消費者に融資する際の金利から、各行が中銀から借りる際の金利の差、(いわゆる「利ざや」、スプレッドと呼ばれる)は小さくなってきており、中銀はそのペースを速めるために努力していると語った。
 同氏は具体策として、労働法改正を挙げた。労働法改正により、金融機関の人件費が削減され、その分が利ざやの縮小に周り、出口金利も低くなっている(またはなっていくはず)と言うのだ。
 ソウザ氏は、クレジット債務返済の滞りがない優良債務者への優遇策(カダストロ・ポジチーボ)や、電子手形制度の制定が必要との見方も示した。これらの措置は現在、連邦議会で審議の最中だ。
 ソウザ氏は、一昨年10月より、通貨政策委員会が開かれるたびに毎回、12回連続で経済基本金利(Selic)を引き下げたことにも触れた。
 10日に上院での公聴会に招かれた、ブラジル中銀のイラン・ゴールドファジン総裁は、「Selicを下げているにもかかわらず、各金融機関が個人や法人に融資する際の出口金利がそれにあわせたペースで下がっていないことには満足していない」と語った。 同総裁は、出口金利を下げる事は中銀にとって最重要事項の一つだとして、「中銀の目的は、ブラジルでの貸付コスト(出口金利)を高騰させるすべての原因を、構造的に壊していく事」とも語った。(17日付アジェンシア・ブラジルなどより)