将棋文化の普及活動を行っているブラジル将棋連盟(吉田国夫会長)が4月21、22日に将棋普及イベントを行い、計150人の参加を得た。ニッケイ新聞(高木ラウル社長)や在ブラジリア日本国大使館(山田彰駐伯特命全権大使)など当地への将棋文化普及を望む日系社会の各団体が協力した。
ブラジル将棋連盟には1970年代の最盛期、日本人移民を中心に1500人以上の会員がいたが、現在は高齢による退会が相次ぎ、会員数は約30人にまで減少してしまった。
これまでも普及活動として県連日本祭りなどのイベントに将棋の体験ができるブースを出店したり、ジェームス・M・トレド連盟副会長のチェス教室で子供らに将棋を教える活動を行ってきたが会員数は増加せず、関係者からは存続を危ぶむ声が出ていた。
昨年末、ニッケイ新聞の高木社長が「将棋は日本特有の素晴らしい文化。ブラジルから失われるのを防ぎ、もっと普及させないといけない」とブラジル将棋連盟に活動協力を申し出、日本人移民110周年事業として将棋大会を共催することを決めた。
ニッケイ新聞が関係各所に協力を呼びかけると、在ブラジリア日本国大使館、国外就労者情報援護センター(CIATE)、ブラジル日本文化福祉協会、アリアンサ日伯文化連盟、JBC出版社、太陽堂、フォノマギ竹内書店、明石屋商会、その他リベルダーデの地元商店が快諾。それぞれSNSによる情報の拡散や店頭へのポスター張り出しを行った。
これらの広報活動が功を奏し、21日に行われた子供王将戦大会には50人が参加。22日の全伯王将戦大会には、40人、初心者向け教室には60人が参加した。王将戦大会には、遠路大使館から藤原慎哉二等書記官も参加し、愛棋家の山田大使からの祝辞を披露するなど110周年記念事業らしい一幕もあった。
初開催の初心者教室には当初30人程の参加が想定されていたが、藤井聡太六段の活躍や将棋漫画、アニメの流行で日伯両国共に関心が高まっている時期だったため、駐在員家庭を中心とする日本人と日本文化に関心のあるブラジル人が30人ずつの合計60人が参加した。
参加者の中からは新規会員登録者もあり、会員増加に役立った。「今後も教室を行って欲しい」という要望も強く、ブラジル将棋連盟では定期開催の準備を進めている。
8月には、全伯名人戦大会が行われる予定で、ニッケイ新聞では、引き続き関係各所と連携しつつ、文化普及に寄与する企画を準備中だ。将棋文化の普及に関心のある企業、団体、個人は高木社長まで連絡を。