テメル大統領(民主運動・MDB)の長年の友人として知られるジョゼ・ユネス氏に対し、ある軍警が「2度にわたって賄賂の現金を届けた」という証言をしており、大統領に対する緊張感がさらに高まっていると、6日付現地紙が報じている。
問題の証言者は軍警のアベル・デ・ケイロス氏だ。まだ守秘事項だが、2014年にテメル副大統領(当時)がオデブレヒト社と合意に至ったとされる、MDBの選挙キャンペーンへの政治献金に関する捜査の一部として、3月28日に連邦警察で供述を行った。
それによるとケイロス氏は、トランスナシオナル社の運転手だった2013年~15年に、少なくとも2回、ユネス氏の事務所に現金を届けた。現金を事務所の中まで運んだのは同社の別の職員だったという。
トランスナシオナル社は、オデブレヒトをはじめ、ラヴァ・ジャット作戦の疑惑の企業御用達の輸送会社だという。
届けた額は明らかにはされていないが、オデブレヒト社は14年に、テメル氏との間で1千万レアルの選挙献金額を行うことで合意に達していたとされている。
ケイロス氏の証言は、ラヴァ・ジャット作戦のMDBの贈収賄工作に絡んだことで有罪となり、服役中の同党のロビイスト、ルシオ・フナロ氏の証言内容と重なる。
それによると、フナロ氏は報奨付供述の中で、2014年9月にユネス氏の事務所に100万レアルの金を取りに行ったと供述している。
また、フナロ氏によると、ユネス氏の事務所に金を取りにいくようにとの指示は、バイア州選出下議で、当時、テメル氏の側近だったジェデル・ヴィエイラ・リマ氏から出たという。ジェデル氏は昨年、バイア州で借りていたアパートで大量の現金が見つかり、収賄と資金洗浄の容疑で逮捕されている。
また、オデブレヒトの賄賂支払明細には、同年9月4日にユネス氏に100万レアルを支払ったとの記録が残っている。
ケイロス氏は2015年初頭までの2年間、トランスナシオナルで勤務していた。同氏によると、1回についての現金輸送の上限は30万レアルだったが、14年は選挙年だったため、その上限が上がっていた可能性があるという。
ただ、ケイロス氏は、現金の送り先の名義がユネス氏であったか、同氏の秘書のシルレイ氏であったかはハッキリとは覚えていないという。
トランスナシオナル社は現在、疑惑の輸送会社として捜査を受けているが、ケイロス氏以外にも2人、現金輸送を行ったという運転手がおり、進歩党(PP)のシロ・ノゲイラ党首にオデブレヒトからの賄賂を届けたとの証言を行っている。
このケイロス氏の証言に対し、ユネス氏の弁護人は、「50年を超える弁護士生活でユネス氏が現金の仲介人になったことなどはない」と反論している。