7月21日午前11時から県連日本祭り会場で開催される「ブラジル日本移民110周年記念式典」。その前後に、総勢2千人の出演者による特別な豪華芸能ショーが予定されている。テーマは「結―次世代に繋ぐ未来への懸け橋」。30以上の芸能団体が流派や年代を超えて結束し、演目を繋いでゆく形で舞台が構成される。5千人収容の式典会場で行われるこのショーは、日本祭りの目玉の一つとなりそうだ。
第一部公演「結」が午前10時から11時、第二部「瑞(めでたいこと)」が正午から午後1時、第三部のグランドフィナーレに分かれ、約15演目が行われる。
舞台演出、構成を手掛けるのは、ブラジル琉球舞踊玉城流扇寿会代表の斉藤悟さん(31、三世)だ。2016年にサラ・サンパウロでの沖縄県人会90周年記念公演の成功、昨年の小禄田原字人会100周年では、1年前から準備を手掛けて感動の嵐を呼び起こした実績から抜擢された。
舞台演出には、琉球国祭太鼓ブラジルの大城アレシャンドレさんも協力している。
県系人イベントで大きな実績を持つとはいえ、若き斉藤さんにとって、今回のような2千人規模の舞台演出は初めて。「流派を超えて一つのものを作り上げるのに当初は頭を抱えた」と心労を語るが、「今では心一つに皆が練習に励んでいる」という。
昨年12月から芸能委員会で準備が始められ、演目ごとに合同練習を開始。本番を目前に控える7月14日にイビラプエラ公園にて全体リハーサルが行われる見通しだ。
斉藤さんは「これまで挨拶程度しか関わりのなかった芸能団体とも付き合いができ、素晴らしい出会いがある」と意義を語る。異なるジャンルや流派を超えて共演することで生まれる芸術性も見所の一つだという。
今公演は、唱歌「さくらさくら」に合わせた日本舞踊の披露で開幕。各10分程度で演目を繋いでゆく形で舞台が構成される。途中、小学生による踊りやコーラスのほか、長崎龍踊り、神楽の大蛇、沖縄太鼓の獅子などによる滅多に見られない豪華共演もある。
最後は、コロニア歌手平田ジョーの作詞作曲した日本移民110周年公式記念曲「ありがとうブラジル」でフィナーレを迎え、各芸能団体から150人が出演する。様々な想いを抱えて移民船に乗込み、祖国を離れ、ブラジルに受入れられ110年の時を刻んだ今、両国への感謝を込めた。歌詞には「ありがとう」という言葉が幾度も繰り返されている。
コロニア芸能の粋を尽くした2千人の豪華共演――110周年の目玉イベントにふさわしい、今年一番の見逃せない舞台になりそうだ。
□関連コラム□大耳小耳
隠れキリシタンの集団地だったプロミッソンのゴンザガ区に祖父が入植したという家族史を持つ歌手の平田ジョー。彼が作った日本移民110周年公式記念曲「ありがとうブラジル」の音楽ビデオの撮影が1日まで、セアザなど各所で行なわれた。振付には阿波踊り、日本舞踊、サンバなど様々な要素が取り入れられ、日伯融合が演出された。この動画は編集を施され、今月24日にも動画サイトYOUTUBEで一般公開される見通しだとか。ブラジル人にも大ヒットする?!
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6月18日の移民の日は月曜日となるため、今年は17日の日曜日に前倒しされ、文協大講堂で開拓先没者追悼大法要が行われる。毎年200人程度で同じ顔ぶれの出席者ばかりだったが、菊地義治実行委員長は「新しい人に参加してもらい、全員参加型のものにする」と意気込んでおり、刷新が期待できそう。子供たちに多く参加してもらい、法要の説法も先駆者を敬うとともに、現在、未来の人々の幸せを願うものになるとか。法要の後には唱歌「故郷」の全員合唱のほか、110周年記念公式曲「ありがとうブラジル」の披露も。参加者にはお握り、飲み物、ボールペンなどのお土産も無料で準備される。菊地実行委員長は「これは参加者へのおもてなしを表わす。そういった日本人の心遣い、伝統文化を感じとってもらえれば」と語った。