ブラジル中銀は3日、「ルーラ元大統領の顔写真スタンプや、『ルーラを釈放せよ!』とスタンプされたレアル紙幣は無効にはならない」との公式発表を行った。
ことの経緯は、カリスマ的人気を誇ったルーラ元大統領が、収賄疑惑などで有罪判決を受け、4月7日からパラナ州クリチバ市の連邦警察署に収監されていることで、ブラジルの通貨であるレアル紙幣に、ルーラ氏の似顔絵と「ルーラを釈放せよ!」との言葉を組み合わせたスタンプをどんどん押している映像が、通話アプリやネットで拡散したことによる。
この映像はルーラ元大統領の逮捕に反発する支持者が流したものと思われており、「中銀はスタンプ入りの紙幣の流通を禁じた。銀行がスタンプ入りの紙幣を受け取った際には、直ちに警察が呼ばれ、使用者は罪に問われる」との音声もついていた。これにより、スタンプ入りの紙幣の受け取りを拒否する商店や、レジの前に「スタンプ紙幣お断り」と張り紙をする店も現れていた。
中銀は、「落書きされた紙幣やいかなるマークがつけられた紙幣も価値を失う事はなく、銀行で交換でき、預金する事もできる。これらの紙幣は各銀行から中銀に送られ、廃棄処分となる」との声明を発表。「スタンプ入りの紙幣は価値を失う」や、「使うと捕まる」などの噂を完全否定した。
中銀はさらに、「一般商店にはこれらの紙幣を受け取る義務はないが、銀行にはある」とも発表し、「書き込みやスタンプなどで傷んだ紙幣も普通に使えはするが、新しい紙幣を発行し、それと交換する必要があり、国には余計な経費が発生する」と、国民の良識に訴える呼びかけも行った。(3日付アジェンシア・ブラジルより)