ホーム | ブラジル国内ニュース | ドル高レアル安進む=1ドル=3.7レアルも間近?=ブラジル企業の対外負債が増大

ドル高レアル安進む=1ドル=3.7レアルも間近?=ブラジル企業の対外負債が増大

(参考画像・Fernanda Carvalho/Fotos Publicas)

(参考画像・Fernanda Carvalho/Fotos Publicas)

 【既報関連】米国での利上げ期待感や、ブラジルの選挙リスクによるドル高レアル安が進み、ブラジル企業の抱える外貨建て債務が1カ月あまりで1150億レアルも増大したと、14日付現地紙が報じた。
 外貨建て債務の額面自体が増えたわけではないが、ドル高レアル安のせいでブラジル企業のレアル建て債務が増えた。これは、「外貨建て債務を抱えるブラジル企業の46・9%が、為替変動時の損失回避措置(為替ヘッジ)をとっていない」(ブラジル中銀発表)という事実により、深刻さを増している。
 為替ヘッジの例としては、先物取引を使い、将来相場が変動したときに備えて、レートを固定させてしまう方法などがある。ドル安時に「将来的な取引時のレート」を確定させていたら、今のドル高の影響は受けなくて済んだはずだが、それを行っていたブラジル企業は多くない。
 中銀のデータによると、今年3月末の時点のブラジル企業の国外債務は4712億ドルだった。ドルベースでは3年ほど、大きく変動していないが、レアルに換算すると、3月末の時点では1兆5560億レアルだった債務が、5月10日の時点では1兆6720億レアルに膨れ上がっている。
 為替ヘッジを行っていない企業の一つに、リオ・グランデ・ド・スル州水道公社(Corsan)がある。
 Corsanは3月末時点で、3060万ドルの債務があった。最近のドル高で、7月に返済期限を迎える債務が当初より74万7千レアル増大したが、「当社は追加の出費への準備がある。また、債務の内、外貨建ては全体の6・9%に過ぎない」と書面で発表した。
 ブラジル中銀は定期的に、為替ヘッジされてないブラジル企業の対外債務総額をまとめている。最近のデータは16年12月のもので、その額は国内総生産(GDP)の9%だった。これは8%だった14年より1%上昇している。
 ブラジル中銀は為替ヘッジをしていない企業に、ドル高になると国外債務が月々の支払いキャパシティを圧迫する可能性や、負債総額が大きくなってしまう恐れがあると、注意を喚起していた。
 経済関係者たちは、ここ数週間の傾向は中銀の警告がまさに現実のものとなっていることを示していると理解している。
 14日のドル/レアル相場は1ドル=3・626レと、16年4月7日以来の高値で引けた。15日も午後4時の時点で1ドル=3・655レとなっている。
 エドゥアルド・グアルジア財相は15日、「ドルは世界中の通貨に対して値上がりしており、レアルだけが下がっている訳ではない」と語った。