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代表補欠にも“うれし涙”=怪我に泣き続けた悲運の名センターバック、デデー

 14日に発表されたサッカーW杯の代表23人には入れなかったものの、6月4日までの交代期間の補欠選手に自分の名前が入っていたことを知り、クルゼイロのセンターバック、デデー(29)が思わず涙をこぼして、話題を呼んだ。
 デデーはこの日、別のイベントで記者会見を行っていたが、その席でセレソンのチッチ監督が代表発表に際し、「交代枠の12人のリストのひとりとしてデデーを選んだ」と語ったとの報を聞き、こらえきれずにうれし涙を流した。
 デデーは「全く思いもしなかったことだ。チッチ氏はサッカーだけでなく、人間的にも素晴らしい人で、何度も励ましの言葉を頂いた。僕がこの数年間に体験した苦しみを共にし、乗り越えるのを支えてくれた家族と神に感謝する」と溢れる思いを口にした。
 これには伏線があった。デデーは20代前半、ブラジル国内で将来を最も期待されていたディフェンダーだった。2010年からヴァスコ・ダ・ガマのセンターバックのレギュラーをつとめ、好守で知られただけでなく、11年の全国選手権では6得点と攻撃力のあるところもアピール。将来的な欧州行きや14年W杯の出場候補とも言われた。事実、2011年から13年まではセレソンに選ばれ続け、9試合に出場している。
 だが2013年にクルゼイロに移籍してからは苦難続きだった。13年こそチームの全国選手権優勝に貢献したが、14年に右ひざを故障。15年に手術に踏み切ると、その年は全休。16年も僅か1試合。17年も3試合に出場しただけだった。
 18年に入り、ようやくミナス・ジェライス州選手権で6試合に出場すると、リベルタドーレス杯、全国選手権と立て続けに出場。現在は、ほとんどの試合で先発レギュラーとして出場を続け、復調をアピールしている最中だった。
 センターバックのW杯出場選手は、ミランダ(インテル・ミラン)とマルキーニョス(PSG)のレギュラー組に、前回大会主将のチアゴ・シウヴァ(PSG)、南米一のセンターバックとの評判のジェロメル(グレミオ)とライバルが多く、彼らが怪我をしない限り出場は難しい。
 だが、約3年間を棒に振った後に、その才能を信じられていたかのようなサプライズの補欠選出が、デデーにとって大きな励みになったことは確かだ。
 そこは長年、コリンチャンスの監督として、対戦相手としてのデデーを見続けていたチッチ監督の眼力の賜物だろう。(14日付テーラ・サイトなどより)