特撮ヒーロー「ジャスピオン」ブラジル版を来年1月公開へ――サンパウロ市近郊バルエリ市アルファビレの映画配給会社サトウ・カンパニーが、2月に同映画の製作を発表した。同社が8月に予定する日本映画上映イベント「Japan Filme Experience 2018」(以下JFE)では、その監督、配役が発表されるほか、日本移民110周年を記念して日本映画110本が5都市で各11日間上映される。同社の佐藤ネルソン社長、ジャケリーネ・ルッチェシさんに3日、取材した。
同社がリメイクを発表した日本の特撮ヒーロー「巨獣特捜ジャスピオン」は、1988年に当地で放送され、子供達のヒーローとなった。
佐藤社長は「今年で放送から30年、大人になったファンが多く、たくさんのブラジル人俳優が出演に関心を持っている。ブラジル版なので国内の俳優で作られるが、日本人俳優も一部起用する」と明かした。来年1月頃の上映開始を見込む。
同社は特撮番組が流行した80年代、海賊版のビデオテープが一般に出回っていたことを問題視した佐藤社長が1985年に立ち上げた。「ジライヤ」や「ウルトラマン」などの特撮番組のほか、現在は「デスノート」や「AKIRA」など日本映画を中心にブラジルに持ち込んでいる。
今回のイベントJFEはサンパウロ、リオ、フォルタレーザ、ブラジリア、クリチバの5市を巡回する予定。今まで多く上映されてきたアニメ作品だけでなく、ドラマやホラー、『二郎は寿司の夢を見る』(2011)、『五島のトラさん』(2016)などのドキュメンタリー作品も上映する。
「映画を通じた体験イベント」なので、日本文化体験の機会も設けられる。「二郎は寿司の―」にちなんで寿司の食体験、ほか無声映画の上演では『弁士』の公演も予定している。
現在も協賛企業を募集中で総事業費は600万レアル。同社は元々が映画配給社であり、上映イベントも映画製作も初の企画。同社長は「日本の会社とも交渉中。大イベントの開催の仕方、他企業から出資を受ける方法など学んでいるところ」と現状を語った。
ルッチェシさんはイベント開催の意義について「映画は日本文化を広める媒体でもある。アニメ、漫画だけではない日本を伝え、ファンを増やしたい」と語った。
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佐藤ネルソン社長が県連日本祭りを昨年訪れて気に入り、日本映画上映の企画を同実行委員会に持ちかけたことから、このアイデアは始まった。残念ながら同祭りでの企画実施はなくなったが、代わりにJFEを独自に行なうことに。佐藤社長は「ブラジルはラ米で一番日本映画の興行収入が低く、ポテンシャルが高い国。大きな日系社会があるため、日本文化に慣れ親しんだ下地がある」とイベント成功への期待を述べた。