リベルダーデ・ラジオ体操会(鹿又信一会長)は9日、毎年恒例のピクニックでブラジル味の素社のリメイラ工場を見学した。44人が参加し、説明を受け試食をするなど、充実の時間を過ごした。
リメイラ工場は1977年、「味の素」をブラジルで初めて生産した。総敷地面積約150ヘクタールで、調味料「味の素」のほかに、スーパーなどで広く流通する混合調味料「Sazon」、美容用アミノ酸などを生産している。
午前7時にリベルダーデ広場前からバスで出発したラジオ体操の一行は約3時間かけてサンパウロ州リメイラ市にある工場に到着。迎えてくれた総務部長のアドミル・デ・マトスさんから製品や工場についての説明を受けた。
その後、味の素の製品が提供され、粉末ジュースや「味の素」が入ったツナのパテをクラッカーにのせて味わった。普段から「味の素」を愛用しているという吉田チドリさん(80、宮城)は「サラダでも漬物でも少し振りかけるとぐっとおいしくなるわ」と話す。
バスに乗って敷地内を移動した一行は梱包作業を行う工場を見学。当日は設備がメンテナンス中で稼動している様子は見られなかったが、技術者の津田雅之さんが説明にあたった。
同工場は24時間稼動で「Sazon」を梱包している。すべて流れ作業で行われ、最終確認で袋の重量を測り、内容量にばらつきがないように対処しているという。
また、「『味の素』の原料はサトウキビ。『味の素』にパセリ、にんにくなどを混ぜたものが『Sazon』で、原料はすべて自然のものです」と説明を加えた。
鹿又会長は「化学調味料を使っていると思っていた。これならいくら使っても安心だ」と話し、「見学したことをただ聞き流すだけじゃなく、商品を試してみたり他の人に話したりして、生活に役立ててください」と会員に呼びかけた。
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味の素は1956年にブラジルに進出し、輸入販売を始めた。日系人や日系飲食店を中心に販売し、後にブラジ人への浸透を図ったが苦戦した。酒井芳彦社長(2008年当時)は『ブラジル特報 2008年5月(日本ブラジル中央協会)』への寄稿で「初期段階ではその有用性を理解されず(中略)苦難の道のりでした」と記している。その後、「Tempero Magico(魔法の調味料)」の売り文句でブランドを確立し、売り上げを伸ばした。今でこそブラジルで成功を収めた日系進出企業の代表格だが、試行錯誤の時期もあったようだ。