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東西南北

 依然としてトラックストが続行中のブラジル。今回のストは国民の多くが支持していると世論調査では出ているが、その一方で、本来の「組合がディーゼル油の価格値上げに反対する」という主張そのものとかけ離れたことも起こりはじめている。例えば、封鎖を行っているトラック運転手がストには関係のない企業の車を強制的に止めたり、政府への軍の介入を話し合ったり。国民も「ネット」という、ある種の言論の自由がある場所で、医療機関の破綻や家畜の大量死の報道を「政府に加担するマスコミの嘘」などと叫んだり、同じく軍事介入を望んだり。彼らが今後、これが何の目的ではじめたストだったのかを忘れなければ良いが。
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 25日、サンパウロ市モオッカ区の集合住宅の中のひとつの家屋で火事があり、5歳と3歳、生後5カ月の赤ちゃんの3人が死亡した。この火事は、この3人の子どもの母親が、近くの住人に食べ物を求めるために出かけた一瞬の間に起こったという。近隣住人はバケツを回して懸命に消火作業に当たったが、助からなかったようだ。子どもたちの遺体は炭化した状態で見つかり、母親はショックで倒れて、病院に運ばれたという。
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 ストの大混乱の中でも26、27日のサッカーの全国選手権は予定通り行われた。コリンチャンスとパルメイラスが共に敗戦を喫する波乱の中、サンパウロが対アメリカMG戦で快勝。順位もサンパウロ市の2大ライバルを抜いて4位に浮上と、ここ数年の不振の中では久しぶりに明るい話題を得た。残念ながら、国民がストでそれどころでないために、注目度は低いが。