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《ブラジル》JICA=野球指導員は過去最高14人=東京五輪に向け競技人口増へ=青少年の健全育成にも期待

現在派遣されている野球指導員

現在派遣されている野球指導員

 ブラジルで野球を指導する長期派遣のJICA青年ボランティアは現在、過去最高の14人。日本政府は2014年から東京五輪に向けた国際貢献事業「スポーツ・フォー・トゥモロー」を実施しており、その一環でボランティア数を増やしている。従来の「日本式」の指導に加え、野球を教育のツールとした地域社会への貢献にも期待がかかっている。

 野球は2020年東京五輪で正式競技に復活する。2008年北京オリンピックまで入っていたが、はずされた。要因のひとつは競技人口が北中米と東アジアに偏っていること。日本では「国民的スポーツ」と言えるほど人気だが、世界的に見るとバスケットボールやサッカーと比べて競技人口がずっと少ない。
 JICAの野球指導員は競技人口の増加や子供たちの健全な育成などを目的に、2年間、派遣先のチームで指導に当たる。指導員の派遣は日系社会から要望を受け、1999年に始まった。
 2013年度までは年1、2人の派遣にとどまったが、14年に3人に増員、日本体育大学からの短期派遣も始まった。16年度からは2年連続7人を派遣している。
 現在活動する指導員は全員、配属先団体から「日本式指導」の要請を受けている。「日本式指導」とは基本に忠実で規律を重視した指導法だ。
 アチバイア日伯文化体育協会では、これまでにキューバ人、ベネズエラ人、アメリカ人の指導者を招いた。だが同協会の辻修平さんは「彼らは技術を持っているけれど、子供たちに教える技術は持っていなかった」と言う。「手本を見せて『こうすればいい』と感覚的な説明が多く、子供たちが理解できない。JICAには以前から派遣を依頼していて3度目にやっと来てくれた」と話す。
 15年に派遣された大橋貴博さんは期待に応え、グローブの握り方や足の運び方など基礎から丁寧に指導した。2年の後、配属先からの要望でさらに1年間延長。昨年12月の全伯少年野球大会10歳の部で初優勝をもたらした。大橋さんは「日本では当たり前の指導をしただけ。自分の任期が終わっても身体に染み付いた技術は残る」と話した。
 クリチーバ日伯文化援護協会の野球チームで指導し、今月帰国予定の八倉波平さんは心の成長を目指した。「道具を片付ける、時間を守るなど人として大切なことを教えたかった」と言う。ただし難しさも感じている。「自分が監視していないと子供たちはちゃんと片付けない」と話した。
 斉藤所長は「東京五輪以降、派遣される野球指導員の数は減るか」との問いに対し、「個人的には現状を維持したいと考えているが、競技人口の増加を成果として求められると苦しい」と答えた。「地域への貢献度合いは定量化が難しく、成果が見えにくい。ただ、数年後には地域社会を巻き込んで効果を上げるはず。上層部には長い目で評価してもらいたい」と力を込めた。東京五輪以降も競技に残るためにも、JICAボランティアが野球を世界に普及すること期待されている。


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 JICA斉藤所長は野球指導について、「技術向上のためだけでなく、青少年の育成にもつながる」と言う。「礼儀作法を身につけさせ、協調性を育む。最近はチームに非日系の子供も多く参加していて、野球をツールに日系団体が地域の子供たちの育成に貢献する良い流れができている」と話した。サッカー王国に、野球で精神性やマナーを教えるとは、実に日本らしい貢献では。