【既報関連】5月下旬に発生したトラックストの影響で、6月の広範囲消費者物価指数(IPCA・インフレ率)が上がる可能性があると、ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)が指摘した。国家財政も悪化した事で株や為替にも影響が出、経済基本金利(Selic)が上がる可能性も示唆されていると、6日付現地各紙が報じた。
ストのせいで生産が減り、流通も混乱したことで、食品その他の品薄現象や価格高騰が起きたことから、6月のIPCAは1%にもなり得るとFGVは見ている。
これは16年1月の1・27%以来の高い数値だ。IPCAは16年7月以来、0・5%を超えていないことも考慮すれば、異例の事態だ。
「低インフレは政府の手柄」とテメル政権は喧伝してきた。確かに、ジウマ(労働者党・PT)政権末期の、不況と高インフレのダブルショック(スタグフレーション)よりましだが、最近の低インフレは、景気回復ペースが芳しくない事の証拠でもある。
トラックストは、燃料減税や補助金支出などで国家財政の悪化を招いており、選挙リスクや国外要因も重なって、ブラジル株やレアルの急落が発生している。
サンパウロ市株式市場指数(Ibovespa)は、5月16日に8万6536ポイント(P)となり、今年に入ってからの累積上昇率が11・7%に達したが、20日後の今月5日の終値は7万6641Pで、今年に入ってからの伸びがほとんど相殺された。為替も、1月25日は1ドル=3・15レだったのに、6月5日は1ドル=3・81レで、20%のドル高となっている。
食品価格高騰とドル高は、どちらもインフレ要因だ。市場関係者の間には「インフレを抑えるために、今月19、20日の通貨政策委員会(Copom)でSelicを引き上げるのでは?」との見方も出ているが、Selic引き上げは景気抑制の副作用もあるので、中銀は難しい判断を迫られる事となる。