ブラジル・トヨタ自動車(ラファエル・チャン社長)は「ヤリス(日本名・ヴィッツ)」の新車発表会を7日、イビラプエラ公園内ビエナウ館で催した。当地では高級車の部類に入る「カローラ」と、普通価格帯の「エティオス」の間の客層に照準を置いた、中価格帯の戦略小型車だ。同社はヤリスの投入によりラインナップを充実させることで、現在8%台の市場シェアをさらに引き上げたい意向だ。
当地で創業60周年を迎えるブラジル・トヨタ。2012年以降の戦後最悪の景気後退局面に当たり、ライバル社が業績悪化を発表する中、同社は逆に攻勢に転じ、過去5年間で約16億米ドルの新規投資計画を次々と発表、市場占有率をどんどん上げてきた。
新車ヤリスの展開もその流れだ。同社は同車種生産のために約10億レアルを投じて、ソロカバ工場に専用の製造ラインを新設。生産計画台数は明らかにされなかったが、エティオスと併せて年間16万台が生産される見通しだ。
車格を越える性能を提供する「The New Value Pioneer」をコンセプトに開発されたヤリスは、高級感ある引き締まった車体ラインや、安全面に力を入れた7つのエアバック搭載などが特徴。
全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)によれば、18年1月から5月迄の四輪販売のうち27%、約4分の1をハッチバック型の小型車が占めており、低中価格帯のラインナップを増やすことでシェア拡大を狙う。
7日、発表会で挨拶したチャン社長は「未来を再発明し、遺産を確かなものとし、次なる章を共に生きてゆく。ヤリスはその新たな一章だ」と強調し、「我々は新たな挑戦を受け入れ、新たな事業に魂を込めて、不可能を可能にしてゆく」と力を込めた。
同社は今年11月からソロカバ工場とエンジンを製造するポルト・フェリス工場の2工場を、2交代制から3交代制、24時間稼働体制に変更させると発表した。これにより、直接及び間接的に約1600人の雇用創出が見込まれる。
また、25年までに全車種にHV(ハイブリッド)技術搭載を目標と位置づけ、新たな挑戦として、当地向けに特別仕様のFLEX対応HV車の研究開発も現在進められている。
今年3月から開始された走行実験は、10月に終了する見通し。HV車や電気自動車の工業製品税率(IPI)を7%に引下げることを含めたROTA2030の実施についても、政府と検討を進めている。
同社は7日から販売予約を開始している。ヤリスはハッチバックとセダンの2タイプ。ハッチは5万9590~7万7590レ、セダンは6万3990~7万990レ。詳細は同社HP(www.toyota.com.br/)まで。