ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》トラックスト後にディーゼル油価格値上がりの州まで=消費者価格0・46レ減のはずが=政府の優柔不断で運送価格紛糾

《ブラジル》トラックスト後にディーゼル油価格値上がりの州まで=消費者価格0・46レ減のはずが=政府の優柔不断で運送価格紛糾

ディーゼル油価格はなかなか下がらない。(参考画像・Fernanda Carvalho/Fotos Publicas)

ディーゼル油価格はなかなか下がらない。(参考画像・Fernanda Carvalho/Fotos Publicas)

 【既報関連】ディーゼル油料金値下げのため、連邦政府が燃料税の減税と、補助金の供出を決めてからほぼ一週間。連邦直轄区(DF)と4州ではディーゼル油価格がかえって上昇し、6州での値下げ幅は0・1レ未満だったと、12日付現地紙が報じた。(ディーゼル油価格関連記述は全て「1リットルあたり」)

 このデータは、国家原油庁(ANP)が、5月のトラックストの始まる前(5月19日)と、終わった後(6月9日)の各州のディーゼル油平均価格を比較したものだ。
 「ディーゼル油の精油所価格は、0・46レアル下がる。消費者価格もその分、厳格に下げさせる」と政府は公約していたが、ストの前後で、全国の平均価格は0・11レアルしか下がらなかった。
 全国燃料小売業者組合(Fecombustivel)のパウロ・ミランダ会長は、ANPに抗議したと語った。同会長は、価格調査のためのガソリンスタンド訪問調査の頻度にムラがあり、データ収集のあり方に問題があるとしている。
 ストの前後でディーゼル油価格が上がったのはDFの他、アクレ、アラゴアス、マラニョン、ペルナンブッコの4州で、値下げ幅が0・1レアル未満だったのは、バイーア、パラー、パライバ、マット・グロッソ、ロライマにトカンチンスの6州だ。パライバ州の下げ幅は0・01レアルだった。
 値下げ幅が大きかったのは、アマパー州の0・27レアルとセルジッペ州の0・25レアルで、サンパウロ州は0・12レアルだった。
 政府は、ディーゼル油の消費者価格がちゃんと下がるかは、各販売業者の在庫(まだ高かったときに仕入れたか否か)や、燃料にかかる州税を各州が下げるかにかかっているとしている。
 燃料にかかる州税は、商品流通サービス税(ICMS)だ。テメル大統領は、トラック運転手たちとの交渉段階で、各州知事にICMSの引き下げを要請していた。
 11日にはアラゴアス、パライバ、トカンチンス州の政府が、ICMSを計算するためのディーゼル油の参考価格を下げる事を決定した。これはサンパウロ州、エスピリトサント州に次ぐ動きだ。リオ州は、ディーゼル油参考価格を上げたがICMSの税率を下げ、0・13レアル下げた。

輸送費最低価格引き上げ進まず、怒る運送業者

 また、スト終結の条件として政府がトラック業者に約束した、公定輸送費の最低価格引き上げ問題も、全国農業連合(CNA)から「農作物の輸送費が膨らんでしまう」と不満が出て、政府が提示した価格表を引っ込めるなどのドタバタが続くうちに、第2弾ストとも言うべき現象が起きている。
 今回は道路封鎖こそ起きていないものの、運送業者は農産物の積み込み作業をわざと遅らせており、農産物の輸出に支障が出ている。ブライロ・マッジ農相は、「農作物の輸出は既に11日分遅れている。輸出量は1日あたり45万トン少なくなっている」と語った。