5月21日に始まったトラック運転手のスト収拾策としての運送料金表問題が未だにくすぶっており、農産物を中心に流通が滞っている。料金表の作成はカルテルと見る声もあり、合憲性や合理性、他の業界に与える影響などを考えるための公聴会も行われたが、合意は成立せず、解決は長引きそうだ。
最高裁のルイス・フクス判事が取り仕切った公聴会は20日に行われ、トラック運転手や運送会社、その他の業界の代表らが集った。
21日付現地紙によると、公聴会では、最低料金表か参考料金表かの論議も含め、腹を割った話し合いがされたようだ。運転手側は最低料金表を求めているが、全国工業連合(CNI)が参考料金に止める事を提案、ブラジル農牧連合(CNA)も同意した。
運転手側も、5月30日から運用が始まった料金表では、サンパウロ州内の米の運送料金が113%増となっているなど、いくつかの点で、急激な値上がりが起きた事を認め、料金表の一部見直しに応じる姿勢を見せた。料金表の見直し作業は既に始まったが、運転手側は、「最低料金をベースとした料金交渉を」という基本姿勢を崩していない。
フクス判事は、28日までに新たな料金表のたたき台を提示する事を求め、交渉が再度決裂した場合には、料金表の合憲性も含めた種々の訴訟を再度取り上げる意向を示した。料金表の合憲性に関する結論は、8月27日に行われる公聴会後に出される事になる。
最低料金表は料金の自由交渉を妨げるといった声は様々な業界から出ており、経済防衛行政審議会も18日に「料金表はカルテルに当たる」との見解を最高裁に示した。だが、国家総弁護庁は同じ日にこの見解を否定する意見書を提出した。
20日は下院で運送会社への減免税を含む複数の恩典を盛り込んだ新プロジェクトが承認され、上院に回された。同案は運送業者を喜ばせるが、歳入減少も招くため、連邦政府にとっては頭痛の種だ。審議の最中にはスト中に課された罰金免除も盛り込まれかけたが、削除された。
トラック運転手のストとその収拾策としての料金表が本格的に機能していない事で、最も影響を受けているのは農業界だ。農産物価格の75%近くは輸送経費が占めているためで、輸送経費値上がりと料金表改定の動きにより、収穫したが輸送出来ず、売買交渉も不能な状態に置かれた大豆やトウモロコシは生産量の半分に及び、損失額は5億レアル/日に上る。5月末に料金表が出て以来の20日間の損失額は100億レに達した。
港に送られる米の半分は生産地で止まり、収穫後のカフェも加工業者に持ち込めない。倉庫が足りず、収穫を停止した作物もあるし、商品の生産や輸送が遅れれば、港に停泊中の貨物船の経費や倉庫代もかさみ、商品価格引き上げに繋がる。
12日現在、停泊中の貨物船は60隻あり、農産物などの収穫停止や輸出の停滞、契約不履行で生じる信頼度低下といった影響はそれなりの期間続くだろう。